<レスリング>2023年U20世界選手権(ヨルダン)出場の男子グレコローマン・チームが帰国

 

 トルコ・イスタンブールで行われたU20世界選手権に出場した男子グレコローマン・チームが8月22日、成田空港に帰国した。63kg級の澤田幸明(拓大)が銅メダルを取り、2015年から続いているメダル獲得は継続したが、初戦敗退の選手も多く、奮起が望まれる結果となった。

▲昨年のU20アジア選手権に続き、U20世界選手権で銅メダルを獲得した澤田幸明(拓大)

 長谷川恒平監督(青山学院大職)は「コロナのためU15やU17の出場機会を奪われて経験が足りない選手が多かった。その中で銅メダル1個を取れて、よかったと思う」と振り返り、澤田が3位入賞を果たしたのは、早生まれの大学3年生でキャリアが他の選手より多いことと、昨年のU20アジア選手権出場(銅メダル)の経験が生きていると分析。他の選手には「経験を数多く積んでほしい」と要望した。

 軽量級はイランやインドなどアジアが強く、重量級はやはり欧州の強さが目立ったと言う。いずれにしても、「海外の選手と数多く闘い、早くシニアのトップレベルに近づいてほしい。」と話した。

 経験を積むのはマット上のことだけではない。ヨルダンという日本選手には未知の国での大会であり、食事や気候、習慣の違いとの“闘い”もあった。「トラブルを経験して、強くなってほしい」と要望した。

 澤田は昨年のU20アジア選手権のほか、今年3月には、シニアの大会である「ダン・コロフ-ニコラ・ペトロフ国際大会」(ブルガリア)でも3位に入っていて、国際大会で3大会連続のメダル獲得となった。「優勝したかったので準決勝で負けたときは落ち込んだ。しかし、メダルを持ち帰ろうと気持ちを立て直し、3位決定戦に挑んだ。勝てて、うれしかった」と、最低限の結果を出せてホッとした表情。

 イランには敗れたが、東欧3選手と躍進するインド選手に勝った結果に、「練習してきたことが通用した」と振り返る。負けたイラン選手には「スタンドは互角だった。自分の弱点であるグラウンドで差があった」そうで、今後の練習の方向性が明確になった敗戦だった。

▲準決勝でイランに敗れ、悔し涙を流した澤田=UWWサイトより

 アジアの3位と世界の3位とでは、自信の大きさが違うとのことだが、すぐにシニアで通じるとも思っていない。ブルガリアの大会で3位に入ったとはいえ、出場選手は多くない大会(9選手)。アルメニア選手に敗れて技術面で大きな差を感じ、シニアで結果を出すには「今以上に努力しないとなりません」と気を引き締めた。

 3スタイルを統括する馬渕賢司総監督(中京学院大監督)は「U17の時代に海外経験を奪われ、全体的に経験不足と感じました」と、長谷川監督と同様のの感想。そんな状況下でも、国際大会は2018年のU15アジア選手権以来という五十嵐文彌(山梨学院大=男子フリースタイル86kg級)が銀メダルを取ったことなど評価できる結果もあったことを強調。

 グレコローマンでも十分に闘えた試合もあり、国別対抗得点は12位と低迷したが、「個々に見れば成果のあった大会だったと思います」と話した。

 7月のU20アジア選手権もヨルダン開催で、食事や水の違いからか、体調不良に陥った選手も少なくなかった。その経験を生かし、日本食持参で行くなど万全の体制で臨み、試合前のコンディショニングは成功したが、ホッとしたのか、試合後に体調不良に襲われる選手もいたという。しかし、ドクターなどとの連携で大事には至らず、出発前のスタッフのサポートとともに感謝した。

▲日本チームの最後に表彰台に登り、大会を締めくくった澤田=UWWサイトより

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