能登食材でイタリアン 田鶴浜・民宿「つるや」隣接地

開業に向けて意気込む晃さん(右)=七尾市田鶴浜町

  ●長男創業 9月3日 修業積みUターン

 七尾市田鶴浜町で唯一の民宿「つるや」の隣接地で、9月3日にイタリアンレストランが開業する。おかみの桶谷由美さん(68)の長男晃さん(42)がシェフを務め、能登の食材を使った本格的なコース料理を提供する。晃さんは多くの観光客に親しまれた民宿の「おもてなしの心」を受け継ぎ、「民宿と同様に長く愛される店にしたい」と意気込んでいる。

 つるやは1969(昭和44)年創業した。ペット同伴での宿泊が可能で、由美さんと夫の幸夫さん(72)が切り盛りしている。都内でイタリア料理店に勤めていた晃さんが家業を支えようと田鶴浜に戻り、新型コロナが落ち着いた時期に合わせ、能登の食材にこだわったレストランの開業を決めた。

 晃さんは、幼い頃から宿泊客に料理を振る舞う両親の姿を見て料理人を志し、都内や金沢市内の店舗で修業。能登島の農園でも働き、食材の知識を深めてきた。

 新築したレストランは黒を基調とした壁やテーブルを取り入れ、落ち着いた雰囲気を演出した。カウンターからは調理の様子を楽しめる。店名はイタリア語で「光輝く聡明な花」を意味する「フィオリキアリ」と名付けた。

 当面は1日1組限定とし、中島産のカキやトマト、ナスなどの能登産の食材を使った料理を中心に提供する。今後はケーキやジェラートなどの販売のほか、飲食中はペットを民宿に預けられるサービスも予定している。

 晃さんは開業に向けて、七尾市の官民連携団体「ななお創業応援カルテット」が開催する創業セミナーを受講した。同団体の協力で経済産業省の事業再構築補助金の対象に採択された。

 晃さんは多くの人の協力で開業にこぎつけたとし、「食べた人の心に残る料理を振る舞いたい」と話した。

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