「笑顔で宇都宮走りたい」 LRT発車式の列車運転 武井さんが抱負語る

26日の発車式で運転士を務める武井さん=23日午後、宇都宮市宮みらい

 次世代型路面電車(LRT)の宇都宮芳賀ライトレール線の26日開業を前に、発車式の列車を運転する運転士武井宏祐(たけいこうすけ)さん(38)が23日、宇都宮市下平出町の運行会社宇都宮ライトレールで、下野新聞社などの取材に応じた。同社の運転士採用計画や国家資格取得に向けた同業他社への出向調整、試運転の指導など中心的役割を担ってきた。武井さんはこれまでの苦労を振り返りつつ「当日は笑顔で宇都宮の街を走り抜けたい」と意気込んだ。

 武井さんは松山市出身。伊予鉄道に10年間勤務し、路面電車の運転士などを経験した後、千葉県内のテーマパーク勤務を経て、2019年に宇都宮ライトレールに入社した。

 きっかけはギョーザ観光で友人と宇都宮市内を訪れた時。オリオン通りで偶然、LRTのオープンハウスを見つけ、同社の存在を知った。「伊予鉄道での経験を生かし、開業という歴史の一ページ目に関わりたい」と転職を決めた。

 当時、運転士経験者は武井さんのみ。「分からないことだらけ。悩むことばかりだった」と語る。全国の路面電車運行会社に出向した運転士たちとメールなどで密に連絡し、寄り添った。2度の開業延期では「慣れない土地で頑張っているみんなに帰任延期を伝えるのはつらかった」と当時を思い出し、涙を流した。

 17日に発車式担当を知らされた。真っ先に地元の両親に伝えると「光栄なこと。頑張ってね」と声をかけられた。開業後も指導役と現場運転士の両方を担う。「安全第一が私の役目。危険予知を徹底し、多くの人の笑顔と安心を乗せて走りたい」と抱負を語った。

 発車式の列車は26日午前11時40分、関係者や子どもたちを乗せて宇都宮駅東口停留場を出発する予定。

26日の発車式で運転士を務める武井さん=23日午後、宇都宮市下平出町

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