兵庫県川西市特産のイチジクが旬を迎え、農家が収穫に精を出している。柔らかく繊細な完熟果実を新鮮なまま店頭に届けるため、摘み取りは未明から早朝にかけて行う。暗い果樹園でヘッドライトの明かりを頼りに、熟れた赤い実を探す。(吉田敦史)
大阪や神戸などの都市に近い立地と温暖な気候を生かした近郊農業として発展。現在は市南部の久代や加茂、栄根地区を中心に、約100軒の農家が計12ヘクタールで栽培し、「朝採りの恵み」の愛称で売り出している。
同市東久代2の市内最大約60アールでイチジクを生産する西田穫美(えみ)さん(55)は、午前4時から果樹園へ。義母や長男ら親族5人を中心に、繁忙期は知人らの助けも借りて手分けしながら収穫や箱詰め作業をする。今年は日照りが多く、実が大きくなる前に赤く熟す傾向にあるというが「その分、糖度が高く味はいい」と西田さん。
9月半ばごろまで地区でまとまって出荷し、その後も10月末ごろまで個別の出荷が続くという。