代表選出あるか!?後方、中盤、前線隙なしのマルチロールJ1セレッソ大阪DF毎熊晟矢の実力とは

現在J1で6位と上位争いを繰り広げるセレッソ大阪で、存在感を見せている選手がいる。

チーム状況に応じて右サイドバック、右ウィングをプレーするDF毎熊晟矢は攻守に存在感を見せて、右サイドで違いを作り出している。

一部報道では来月の欧州遠征に臨む日本代表のメンバー入りの可能性が報じられるほど、注目を集めている。

いまJリーグで複数ポジションを高いクオリティでこなす毎熊に焦点を当てる。

高校、大学時代はプロ注目のストライカー

福岡の名門である東福岡高時代の毎熊は、背番号7を背負って主にセンターフォワードとしてプレーしていた。当時はオフザボールの動きとフリーランに優れ、相手が嫌な位置に顔を出しては、相手のマークを引き付けてスペースにパスを出すなどクレバーなプレーが持ち味だった。

守備でも前線から積極的にチェイスして相手のビルドアップを乱し、攻守が切り替わればショートカウンターの起点になるなど、相手からすれば捕まえずらい選手だった。

そのスタイルは桃山学院大進学後に前述したプレーが洗練され、フィジカル面も力強さがついた。サイドに流れれば持ち前の推進力を生かしたスプリントで、相手サイドバックを蹂躙。中央ではフリーランを生かしながら時折ポストプレーも混ぜて攻撃に変化を加えるなど、怖さが増した。

大学3年次は関西学生リーグ1部で22試合18得点と驚異的なペースで得点を重ね、プロ注目のストライカーとして注目を浴びた。

プロ入り後は複数ポジションで存在感

大学時代はストライカーとして圧倒的なパフォーマンスを見せた毎熊だが、大学卒業後に入団したJ2のV・ファーレン長崎では新境地を開くことになった。当時手倉森誠監督揮下の長崎では右サイドバックにコンバートされ、位置を後方へと移した。

大学サッカー界有数のストライカーがサイドバックにコンバートされたトピックは、毎熊の将来を心配する関係者もいたという。だがこのポジション替えでさらに評価を高めた。優れた戦術理解能力で最適なポジショニングを理解し、攻撃時には持ち前の攻撃センスが生かされた。

もともと、総合力が高いストライカーだったため、長崎の攻撃型サイドバックに求められるタスクを水準以上にこなしてみせた。ルーキーシーズンは36試合出場3得点4アシストと、チームの3位入りに貢献。ただコロナ禍のシーズンだったため、J1参入プレーオフは中止となり、J1復帰を惜しくも逃してしまった。

だた翌シーズンも毎熊は飛躍の歩みを止めなかった。リーグ戦38試合に出場し、3得点10アシストと攻撃面で大きな違いを作り出した。クロス精度の向上、前線への侵入の増加も見られ、守備面でもフィジカル負けせずに相手エースを封じるなど光るものを見せた。

チームは4位に入るも、このシーズンもプレーオフが見送りとなった。だがJ1クラブが才能にあふれるサイドバックを見逃すはずもなく、J1のC大阪が毎熊の獲得に成功した。

桜の右サイドに毎熊あり

C大阪に加入した2022年シーズンはこれまで評価されてきたSB、CFではなく、ワイドアタッカーとしての起用が主だった。SBと比べてよりゴールへ近づいたことで、持ち前のアタックセンスが生きるようになった。通常J2でプレーしてきた選手はJ1への適応に時間がかかるといわれているが、毎熊はすぐに環境適応して28試合3得点3アシストとまずまずの成績を挙げた。

サイドアタッカーとしても新境地を開いた背番号16は、後方、中盤、前線と隙のないマルチロールへと進化した。攻守両面で計算ができて、献身性と運動量もあるため、チーム事情に合わせて起用ができる面は魅力しかない。

今季は右SBと右MF(あるいはウイング)でチーム状況に合わせて出場し、「桜の右サイドに毎熊あり」と表現できるほどチームに貢献している。現在23試合1得点2アシストと難しいミッションの中で小菊昭雄監督が求めるタスクをしっかりこなしているように見える。

現在森保ジャパンでは優れたSBが求められている。攻守両面において高い水準でプレーができ、森保一監督が評価ポイントとしてよく挙げる複数ポジションがこなせる選手に毎熊は合致する。

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毎熊の日本代表招集はあるのだろうか。1997年生世代の大卒選手は三笘薫(ブライトン)を筆頭に同期たちは目覚ましい活躍を見せているため、Jリーグで優れたパフォーマンスを見せている毎熊も続いてほしい。

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