外海、三重、琴海の魅力を発信 70代中心の商工会女性部 部員減でもあの手この手で奮闘!

おそろいのポロシャツで活動をする長崎市北部商工会女性部のメンバー。山口さん(後列中央)を中心に地域の魅力を発信している(同商工会提供)

 観光マップの作成、郷土料理の継承、地元の食材を使った土産品の開発-。長崎県長崎市の三重商工会と琴海商工会が合併し、2019年4月に発足した長崎市北部商工会(本所・同市三重町)。合併で女性部も一つになった。部員は年々減っているが、あの手この手で管内の外海、三重、琴海地区の魅力を発信し続けている。活動を担っているのは、70代が中心。モットーは「笑顔で楽しく」だ。
 近年は大型店の進出や人口減少、後継者不足などで廃業する事業所が多く、県内各商工会では女性部員も減少。県商工会連合会によると、県全体の女性部員は10年前の約2300人から1770人(4月1日時点)に減った。
 三重商工会は約30年前に60人近くいたが、合併時の19年4月には両商工会を合わせて52人、現在は40人だ。合併2年目から女性部長を務める山口ミサエさん(79)は生まれ育った三重地区で姉と2人、半世紀以上前から美容院を営む。
 漁業が盛んな地域で、数年前まで8月の最終土曜日には夏祭りが開かれ、多くの人でにぎわっていた。山口さんは「ステージでは女性部がジャズダンスを披露するのが恒例だった。花火が上がって盛り上がっていた」と懐かしむ。
 活動の先細りが懸念される中、三重商工会の職員として17年に異動してきた小川ひとみさん(64)が強力な助っ人に。山口さんは「何かやろうとしても自分たちだけではなかなか難しい。小川さんのサポートは大きい」とほほ笑む。
 18年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されると、構成資産がある外海地区を訪れる観光客が増加。直後の19年に合併したこともあり、外海、三重、琴海の観光マップを作ることになった。

長崎市北部商工会女性部が作った観光マップ

 「まずは自分たちの目で魅力を再確認しよう」(山口さん)と20年10月、部員15人がバスで管内を巡った。地図には写真と色鮮やかなイラストを多く使い、観光スポットや飲食店などを紹介。「長崎市内から小一時間でこんなに、自然豊かな手つかずの景色に出会えます」と旅情を誘う言葉も添えた。小川さんは「皆さんの思いを形にできてうれしい」と話す。
 地元住民にも地域の魅力を伝えようと郷土料理に着目。コロナ禍で飲食を伴うイベントはなかなか開けなかったが、今春の新型コロナ5類移行に合わせ、夏休みに試食会を計画。古くから三重地区で精進料理として親しまれている汁物「つぼき」の親子試食会を三重、琴海両地区で開いた。
 「肉や魚が使われていない質素なもの。子どもの口に合うかな」(山口さん)と不安もあったが、お代わりする子どももいて、保護者からは「親子で作ってみたい」と盛況。つぼきのレシピや女性部の活動を収録した冊子も作った。
 同連合会は公募型の助成金制度を設け、積極的な活用を呼びかけている。担当者は同女性部について「毎年のように提案があり、県内20の女性部の中でもかなり頑張ってもらっている」と評価する。
 来春で2期目が終わる山口さん。「そろそろ次の世代がやりたいことをサポートする番かな」とも考える。「若い人の視点で地域を盛り上げてもらえたら」と古里への思いを語った。

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