危険運転致死罪の適用訴え 遺族ら、地検に署名と要望書提出 宇都宮の追突事故

記者会見に臨む「高速暴走・危険運転被害者の会」のメンバーら=30日午後、県庁記者クラブ

 栃木県宇都宮市の新4号国道で2月、オートバイの男性が時速160キロ超の乗用車に追突され死亡した事故で、遺族が共同代表を務める「高速暴走・危険運転被害者の会」が30日、宇都宮地検に対し、要望書と約1万3327人分の署名を提出した。自動車運転処罰法違反(過失致死)罪で起訴され公判中の被告に、法定刑がより重い同法違反の危険運転致死罪の適用などを求めた。

 夫の同市、会社員一匡(かずただ)さん(63)を失った同会共同代表の佐々木多恵子(ささきたえこ)さん(58)らは、被告が制御困難な高速度で運転していたとして、危険運転致死罪への変更を訴えている。今回の要望書ではそれに加え、被告の車が一匡さんのオートバイの通行を妨げる妨害目的の運転としても同罪を適用できると主張した。

 30日は佐々木さんや、1999年11月に東名高速道路での交通事故で2人の娘を失った井上保孝(いのうえやすたか)さんら計7人が地検を訪問。6月に提出した署名も含め、計約6万9千人分を届けた。

 要望書の提出後、同会は県庁で記者会見し、佐々木さんは「まずは危険運転致死罪という土俵に立たせてほしい」と訴えた。事務局長で、自身も交通事故遺族の波多野暁生(はたのあきお)さんは「さらに署名の数を増やすため、この事故をより広く知ってもらいたい」と述べた。

 同会は7月、各地の交通遺族や弁護士で設立した。適用のハードルが高いとされる危険運転致死罪の運用見直しを国に訴える考え。

 一方、県警は30日深夜、事故現場の新4号国道で実況見分を行った。事故当時の運転状況などを確認したとみられる。

署名などを持って宇都宮地検に入る佐々木さん(左から2人目)ら=30日午後、宇都宮市小幡2丁目

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