「若いころ デートした」29年の歴史に幕 そごう広島店新館 閉館へ【動画ニュース】

29年の歴史に幕を下ろします。31日に閉館する「そごう新館」(広島市)から 小林康秀 キャスターのレポートです。

小林康秀 キャスター
「そごう広島店 新館前に来ています。きょうが最終日ということで、大きな赤い看板で『30年のご愛顧に感謝をこめて』と掲げられていまして、中には多くのお客さんがいらっしゃって、さきほどからひっきりなしに出たり入ったりされています。

きょうは最終日ということで多くのお客さんがいらっしゃるので、内部の取材はできないということで、外側からうかがいながらの取材ということになっています。さきほど、わたし、中に1人で入ったんですけれども、1階は貴金属店であるとか、高級ブティックなどが並んでいるんですけれども、かなりの割引率の商品もあるようで、買い求めようとするお客さんとお店の方との商談があちこちで繰り広げられていました。

高級ブティックには、常連さんでしょうか、それぞれのお店の中で昔話など談笑していらっしゃる様子もありまして、みなさん、慕っていらっしゃるなという感じでした。

7~8年前までこちらで働いてらっしゃっていたという女性とお話をしたんですけれども、こちらでの思い出は、『一番はやはり高級店のハンドバックなどを買い求めるお客さんの姿だ』というお話をされていました。そういったお店が多く並んでいるので、金色などのきらびやかな装飾が多いそうです。

ただ、『われわれ、そういった思い出もあるんだけれども、それだけではなくて、お店に向かうまでのバックヤードの中でほかの店員のみなさんといろんな話をしたことが、一番の思い出です』と話していました。『きょうはお客さんとしてハンドバッグを買いたい』とおっしゃっていました。

この新館が閉店するということが発表されて1年余りが経ちました。閉店の日を迎えた、きょう1日を追いました」

小林康秀 キャスター
「そごう新館、最終日午前10時になりました。今、扉が開きまして、続々と買い物客が中へと進んでいきます」

訪れた人たち
「できたときはすごく華やかで魅力的で、何回か通ったことがあるんですけど、なくなるのはさみしいですね」

「わたしは若いころにここで主人とデートしていました。もう20何年前だから。本当に残念ですね、長い間あったので。時どき来たら、イルミネーションがきれいだった」

「なかなかコロナで出てくることはなかったんですけど、コロナが落ち着いたら行けるかなと思っていたのが、なくなるのはさみしいですね」

広島店では「最終売りつくしセール」が行われていて、衣料品や日替わり商品などがいつもよりも安く売られています。

そごう広島店 広報担当 山岡奈緒 さん
「ダブルエスカレーターを初めて見たのが、このそごう広島店の新館だったので、見るたびに、これが見れなくなるのはさみしいと思います」

そごう広島店の新館がオープンしたのは、広島店の開店20年にあたる1994年4月。NTTクレド基町ビルの地下1階から地上9階まででアクセサリーや高級ブランド・ファッションブランドなどの売り場が並んでいます。

広島で初となる「ロフト」が出店するなど、若い世代を意識した店舗展開に取り組みました。

過去10年のそごう広島店の売り上げです。2020年には新型コロナの感染拡大で緊急事態宣言が出され、一部の売り場を除き臨時休業に追い込まれるなど売り上げも低迷しました。

そごう広島店は、新館の閉館に合わせ、2025年春の完成に向けて先月から本館のリニューアルを進めています。

広島店の 吉田幸永 店長は、「本館1館体制に生まれ変わる。『豊かな広島の暮らしを体験できる百貨店』をコンセプトに、20年ぶりとなる全館リニューアルを、段階的に進めていきます」とコメントしています。

小林康秀 キャスター
「アジア大会もあったということで、それに向けて広島パルコもオープンし、そして、このそごう新館もオープンしました。特に基町クレドは、そごう新館とパセーラ、さらにリーガロイヤルホテル広島と一気にオープンして、広島の街はまさに建設ラッシュだったんですね。

それから30年近くが経とうとするんですが、実はこの建物もリニューアルしながらきているんですね。例えば、本館と新館の6階を結ぶ渡り廊下なんですけれども、実は建設当初はエスカレーターではなくて、階段でつながれていました。移動が多くなったこと、あるいはバリアフリーなども考えて、エスカレーターができて、階段もある。さらには小さなエレベーターも今は付いているという状況になっています。

それから新館1階の高級ブランド店は、以前は喫茶店であったり、あるいは9階には実は家電量販店のベスト電器が3年間だけありました。さらに今もこの新館の地下にはお店がいろいろあるんですけれども、実は新館側にも食品売り場があったという時期があったんです。ですから時代の変遷を経て、今があるということです。

この建物を管理していますNTT都市開発によりますと、今後のこの新館について複数社から現在、問い合わせが来ているんだけれども、中身については未定だということです。2025年度のリニューアルオープンを目指しています。

そごう広島店新館はきょう午後7時半で営業を終えるんですが、特にセレモニーなどは予定されていないということです。リニューアルを進めている隣りの本館で、美容や高級品の充実を図りまして、新館の機能を集約したいということです。以上、そごう広島店新館からお伝えしました」

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