【香港】自動運転車の専用道路を建設[運輸] 空港—東涌間、28年完成を予定

香港国際空港を運営する香港空港管理局(AAHK)が、空港と大嶼山(ランタオ島)の東涌を結ぶ自動運転車両の専用道路建設を計画していることが明らかになった。自動運転輸送システムを整備する。2025年の着工を予定しており、早ければ28年の完工を目指す。

空港管理局はこのほど、香港国際空港の「空港都市」開発プロジェクトの進捗(しんちょく)状況を報告する文書を、ランタオ島を含む香港域内の離島を管轄する離島区議会に提出した。自動運転輸送システムの建設はこの文書に記されている。

専用道路は全長約3.8キロメートル。中国広東省と香港、マカオをつなぐ海上橋「港珠澳大橋」の香港側検問所がある人工島と、空港に開発中の大型複合施設「スカイシティー(航天城)」、東涌の3カ所を結ぶ。このうち、海上高架橋となる大橋検問所—スカイシティーの区間は「航天走廊(エアポート・シティー・リンク)」と命名され、22年初めに建設が始まっている。

東涌と結ぶ区間は、空港島の東岸にある既存の沿岸道路を拡張して活用する。地上の道路と高架道路を組み合わせる形。途中に3カ所の停留所の設置も視野に入れる。専用道路沿いには歩道や休憩所も整備する。

走らせる専用車両は電気自動車(EV)で、自動運転技術を使って無人運行させる計画。所要時間は大橋検問所—スカイシティーが2~3分、大橋検問所またはスカイシティー—東涌の中心部は8~10分と見込んでいる。

自動運転輸送システムの東涌ターミナルは高架道路上に設ける。ターミナルの両端に出入り口を各1カ所設け、香港鉄路(MTR)の東涌駅や東涌バスターミナルと連絡する。

■アセス報告は近く公開

文書によれば、空港管理局は東涌区間の専用道路建設に関する環境影響評価(アセスメント)に着手しており、報告書は既に政府環境保護署(環保署)に提出済み。同署の公式ウェブサイト上で近く公開され、市民が閲覧できるようになると説明した。

香港政府は道路(工事・使用・補償)条例に基づき、東涌区間の専用道路建設を年末か年明けにも官報で告示する見込み。空港管理局は法的手続きの完了と政府の許認可を待って建設に着手する。現時点では25年の着工、早ければ28年の完工を見込む。文書には工費の見積もりは記されていない。

空港管理局は自動運転輸送システムを整備する目的を、空港と東涌との交通面の接続強化と説明。これが完成すれば空港と大橋、また近隣のホテルや商業施設を利用する市民や旅行客の利便性が向上すると強調した。

空港管理局は同文書で、スカイシティーの海岸沿いに整備する新しい埠頭(ふとう)と船舶停泊地についても言及した。いずれも埋め立て工事関連の条例に基づき、政府が年末か年明けにも官報で告示する見込み。法的手続き完了と政府の許認可を待って着工すると説明した。

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