社員「副業」で農業支援 金沢村田製作所

オクラの収穫に取り組む金沢村田製作所の社員=白山市内

  ●余暇活用、人手不足に一役

  ●石川発の新モデルに

 金沢村田製作所(白山市)は31日までに、希望する社員が余暇を活用し、地元農家の作業を手伝う取り組みを始めた。JAグループ石川と連携し、収穫など繁忙期に社員が農家に出向く。全国的に農業従事者が減少する中、従業員2700人が在籍する金沢村田の規模を生かした取り組みで、石川発の新たなモデルとして可能性を探る。

 金沢村田側が社員の希望をまとめ、「副業」として農業に従事する形となる。社会課題を解決する活動の一環として、人手不足が顕著な農業分野への支援を決め、JA側に相談を持ち掛けた。

  ●白山でオクラ収穫

 金沢村田の社員は7月から、白山市の黒澤農場で試験的に農業支援を始めた。毎週土曜、日曜を利用し、希望した計19人が交代で、最盛期を迎えたオクラの収穫と選別作業を担う。

 27日も午前5時から収穫作業が行われた。普段は開発業務に携わる天池信二さん(54)は「お客さんにどんなものを届けるべきかを考える点で、製品開発と通じるところがある」と語り、慎重な手つきでオクラを収穫した。

 同農場の黒澤与典社長は、旬の作物を規格外にならないように出荷するためには、休みなく収穫を続ける必要があるとし「従業員の休日を確保しようと思うと人手が足りない。土日の人員を補ってくれるのは願ったりかなったりだ」と話した。

 金沢村田は農家の需要を探っていく方針で、担当者は「関係者それぞれのメリットになる、持続可能なモデルを構築したい」と語った。

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