諫早農高が最優秀 九州学校農業クラブ連盟発表大会 10月に全国大会へ

全国大会出場を決めた諫早農業高バイオ園芸科の発表チーム=島原文化会館

 九州・沖縄各県の農業系高校の生徒が研究成果などを競う「九州学校農業クラブ連盟発表大会」が10日まで2日間、島原市であり、家庭生ごみを堆肥にし環境保護と農家のコスト削減を図る「持続可能な農業」を実証した諫早農業高が、プロジェクト発表Ⅰ類で最優秀賞に輝いた。10月に熊本県で開かれる全国大会に九州代表として出場する。
 県大会を突破した25校計約250人が参加。プロジェクトⅠ類は農業の生産・流通・経営に関する分野が対象で、各県代表8校が農産物の栽培や家畜の飼育などについて発表した。
 諫早農業高の発表テーマは「フードロスニュートラルde持続可能な農業へ~食品ロス活用が起こす異次元の農業革命~」。国際情勢の悪化で肥料・飼料価格が高騰する中、家庭生ごみを堆肥にしてバレイショ栽培と採卵養鶏で活用した。
 雲仙市の農家と連携したバレイショ栽培では、堆肥化した家庭生ごみを使った場合でも収穫量が県の目標収量(10アール当たり3.4トン)を上回り、連携農家の作付面積6ヘクタールでは年間約320万円の経費削減効果を確認した。諫早市の同校養鶏場(飼育数約千羽)では、飼料に堆肥を混ぜて与えたところ、採卵率や卵の質に従来と大きな差はなく、年間110万円のコスト削減につながった。
 これを県内全体で試算した場合、バレイショで約17億円、採卵養鶏で20億円の経費減に相当するという。
 同校は2020年度から対馬市と協力し、同市内で出た家庭生ごみの堆肥化に21年度成功。堆肥は「堆(たい)ひっこ」と名付けられ、対馬島内で無償配布されている。同校が県内各地の子ども園などで開いている食育活動でも生かされている。
 発表は同校バイオ園芸科の9人が担当。リーダーを務めた内田麟太朗さん(18)=3年=は「この(堆ひっこの)一握りが長崎の農業の軸となり、日本経済を回し、安定的に食料を供給していく。そのような明るい未来を実現するため、私たちは『異次元の農業革命』を起こす」と宣言した。

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