カップを開けた瞬間、芳醇な香りが…最高級酒の「酒かすジェラート」若い女性にも好評 淡路島の「千年一酒造」

大吟醸「千代の縁」の酒かすから作られた「酒粕ジェラート」=千年一酒造

 兵庫県淡路市久留麻の「千年一酒造」は、酒かすを原材料に使ったアイスクリーム「酒粕(さけかす)ジェラート」を商品化し、販売を始めた。同社の最高級酒「千代の縁」の酒かすを使用。上品な香りと滑らかな口当たりが若者らの人気を集めている。(内田世紀)

 酒かすは、酒のもろみを搾った後に残る固形物で、漬物やかす汁などの料理に使われる。アミノ酸やビタミンを豊富に含んでおり、健康食品としても注目されている。

 千代の縁は、酒米「山田錦」で造る大吟醸酒。香りの良い酵母で仕込むため、フルーティーな味わいが際立つ。全国新酒鑑評会で5回、金賞に輝いた。

 同社の上野山善彦杜氏(とうじ)は「酒かすにも香りや味が強く残っている」と話す。

 その酒かすを有効に利用しようと、同社の女将(おかみ)武田須也子さんが商品開発を提案した。

 武田さんは、東京の学校で勤務し校内のカフェで千年一の酒かすを使ったカレーを提供しているめいの勝本典子さんに相談。勝本さんは、アイスの商品開発を手がける知人の会社「オネスト」(東京都八王子市)に協力を依頼し、ジェラートを作ることにした。

 酒かすを加熱したり、配合を変えたりしながら試行錯誤。試作品の中から、まったりとしつつ滑らかな味わいの1点を選んだ。

 パッケージは勝本さんが考案。千年一のロゴをあしらい、QRコードを付けるなど酒蔵をPRするデザインを意識した。

 7月に完成し販売を始めると、若い女性客らから「カップを開けた瞬間、芳醇(ほうじゅん)な香りが広がる」「すっきりした味わいで夏バテにも効果がありそう」などと好評を得た。

 武田さんは「皆においしいと言ってもらってありがたい。酒かすの味が強すぎないか心配だったが、さわやかに仕上がって良かった」と喜ぶ。

 税込み450円。同社や、洲本市本町6の飲食店「酒林」などで販売。

 千年一酒造TEL0799.74.2005

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