山形市長選、関心アップいかに 

 山形市長選(10日投開票)の期日前投票が4日、スタートした。現職と新人の一騎打ちとなった選挙戦で、関係者が注視するのが投票率だ。似たような構図で行われた4年前の前回市長選は、過去2番目に低い39.08%にとどまった。市選挙管理委員会は今回、期日前投票所を商業施設内に設けたり、高校生が作成した選挙啓発ポスターを掲示したりし、有権者の関心を高めようと苦心する。

 過去の山形市長選の投票率はグラフの通り。近年では2015年が56.94%と高い。当時は新人による事実上の一騎打ちで与野党対決の構図となり、告示前から激しい前哨戦が繰り広げられた。19年は告示直前に構図が固まったこともあり、39.08%に低下した。「あまりにも激しい戦いだった15年の“反動”だ」と見る向きもある。

 低投票率は、選挙結果の正当性が問われかねない。山形大人文社会科学部の源島穣(げんじまゆたか)准教授(政治学)は「選挙は有権者が何を考えているのかが分かる“リトマス試験紙”。棄権率が高いほど、政治に無関心か、または信任するほどまでの価値を見いだしていないことになる」と指摘する。

 候補者自身も投票率アップが重要との認識で一致する。現職の佐藤孝弘候補(47)は「いかに選挙に関心を持ってもらえるかが非常に大切。接する人の数を増やしていきたい」と話す。新人の渡辺ゆり子候補(71)は「多くの市民の方々と一緒に市政をつくっていこうと問いかけたい」と語る。ともにSNS(交流サイト)などを有効活用し、自らの主張を有権者に届ける重要性を強調する。

 市選管は今回、4年前の前回はなかったイオンモール山形南、エスパル山形にも期日前投票所を設けている。大学生向けの啓発活動として、山形大、東北芸術工科大、東北文教大と連携。各大学の連絡アプリを活用し、学生に市長選の期日前投票などに関する情報を提供している。

 啓発活動の一環で4日、高校生が作成したポスターが期日前投票所の一つ、市役所に掲示された。作成者の一人で山形北高3年の卯野優菜さん(18)は「私も選挙権を得て春の統一地方選で投票に行き、少しでも山形が良くなれば―という気持ちになった。今回の山形市長選は、4年前よりも投票率が上がってくれればうれしい」と期待した。

山形市役所の期日前投票所に、高校生が作成した選挙啓発ポスターが掲示された

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