本県最賃、答申通り900円決定 山形地方審議会、異議認めず

 山形地方最低賃金審議会(村山永会長)が5日、山形市の山形労働局で開かれ、県最低賃金の答申に対する異議について審議した結果、異議を認めず答申通りにすることを決めた。最賃は現行の1時間854円から46円引き上げ、900円と正式に決まった。10月14日から適用される。

 同審議会は8月18日、過去最大の上げ幅46円アップの900円にするよう小林学山形労働局長に答申。県労連と県医労連が同31日、連名で「若者や子育て世帯が安心して暮らせる水準ではなく、医療・介護労働者の地域間格差も大きい。答申額は不十分」と異議を申し出て、最賃を1500円にするよう求めた。

 この日は異議の取り扱いについて小林局長から諮問を受け、協議した。労働者、使用者、公益各委員の代表から「非常に大きい上げ幅での答申」「6回の審議を尽くした」などと意見が出て、全会一致で「十分に審議して出した結論で、答申通りにすることが適当」と結論づけた。

 本県の最賃は中央最低賃金審議会が示した引き上げ目安額39円に、7円上乗せされた。全国最高額の1113円とした東京都との差が213円になり、前年より5円縮まった。全国加重平均1004円とは104円差で、3円縮まった。隣県の福島県と同額で、東北地方では宮城県の923円に次ぐ額になる。

 10月14日から適用されることに関し、村山会長は「地域間格差が縮小するのは良いことだ」と述べ、使用者委員の丹哲人県経営者協会専務理事は「厳しい状況だが努力する」と話した。労働者委員の石川正樹連合山形副事務局長は「労働力流出の抑止力になる」とした上で、「企業の厳しい経営環境も理解している。労使が協力して生産性向上、価格転嫁の取り組みに注力する」と語った。

 また小林局長はこの日、製造業など4産業の特定最低賃金について審議会に諮問した。特定最賃の引き上げ額は10月24日に答申、12月25日に効力発生の予定。

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