熊ノ返山周辺に150メートル風車40基計画 舟形町長懸念、再エネには理解

 尾花沢、最上、舟形の1市2町にまたがる「熊ノ返(くまのかえし)山」周辺の山中で、関西電力が事業化を検討している風力発電で、陸上として最大級の高さ約150メートル、出力4メガワットの風車を40基程度建設する計画であることが5日、関係者への取材で分かった。森富広舟形町長は同日の町議会でイヌワシの生息と、脱炭素化社会の推進の両面に配慮し、慎重に対応する姿勢を示した。

 町によると、関電から同町には昨年5月、熊ノ返山周辺が風力発電に適した風況で、最大40基程度(160メガワットクラス)の風車群を建設したいとの意向が伝えられた。住民に説明の場を設けることへの協力要請もあった。同年11月と今年2月に住民代表らへ説明があったという。

 県の話では、関電は「県再生可能エネルギーと地域の自然環境、歴史・文化的環境等との調和に関する条例」に基づき、県と事前協議を進めるとともに、地元自治体とも事前調整を進めていた。現状は事業開始に必要な、環境影響評価(環境アセスメント)の5段階のうち、1段階目の配慮書提出に向けた準備段階となっている。

 関電によると、説明会後の今年3~7月、同社が実施した調査で、建設予定地周辺にイヌワシのつがいと、クマタカの生息を確認した。

 関係1市2町の中では5日に、舟形町議会の一般質問で、この件が取り上げられた。森町長は「現時点では事業着手について何も決まっていないが、希少動植物が見つかったのであれば事業として成り立たないのではないか」と述べた。一方で脱炭素化推進の必要性にも触れ「再生可能エネルギー(導入)の重要性は理解している」と語った。

 関電の担当者は山形新聞の取材に対し「今後、イヌワシの行動圏などの調査を継続する。具体的に決まった計画ではなく、事業の実施を前提としたものでもない」と話した。

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