高岡古城公園のSL 大井川鉄道へ「旅立ち」

クレーンにつられるSL車両=高岡市の高岡古城公園

 高岡市の高岡古城公園に展示されている蒸気機関車(SL)の本格的な搬送が6日行われ、巨大な車両をクレーンでつり上げる迫力ある作業を鉄道ファンが見守った。車両は「きかんしゃトーマス」を模したSLの運行で知られる大井川鉄道(静岡県島田市)で活用される予定で、半世紀以上展示され、市民に親しまれてきた高岡古城公園から静岡へ旅立った。

 約30人のスタッフが午前8時半から作業を開始。あいにくの雨となったが、手際よく進め、午前のうちに運転台の屋根などを外し、石炭を積む後部車両をトレーラーに積み込んだ。

 正午にはSLの心臓部であるボイラー車両に着手。クレーンでつるした車両が水平になるようワイヤの位置を何度も変え、車両にダメージを与えないよう慎重に作業を進めた。

 荷台に載せられた車両は「SLの病院」とされる東海汽缶(静岡県島田市)の工場に運ばれ、どういう活用の仕方ができるのか詳細な調査が行われる。大井川鉄道の担当者は「ピカピカにして走らせることが夢だが、まずはしっかり状態を調べ、あらゆる可能性を探っていきたい」と話した。

 名残を惜しんで作業の動画を撮影する鉄道ファンの姿も見られ、南砺市の村田伸夫さん(68)は「宙づりのSLはなかなか見ることができず、圧巻だった」と話した。「高校時代に実際に乗ったこともある。もし大井川鉄道で走るならぜひ乗りに行きたい」と期待を膨らませた。

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