北陸―四国の路線廃止 西日本JRバス、11月

富山駅を出発する北陸ドリーム四国号の第1便。11月で路線廃止となる=2019年6月

  ●運転手不足、採算見込めず

 北陸の高速バス路線で、減便や廃止の動きが広がっている。西日本JRバス(大阪市)は11月30日、北陸と四国を結ぶ夜行バス「北陸ドリーム四国号」を廃止する。コロナの感染拡大を機に運休しており、運行再開を検討したが運転手不足に加え、採算に合う乗客数が確保できないと判断した。他の会社でも運転手不足を理由に共同運行を取りやめる動きが見られ、各事業者はドライバーの効率的な配置に苦慮している。

 四国号は2019年6月、西日本JRバスとJR四国バス(高松市)の共同で1日1往復の運行を始めた。夜に富山駅を出発、金沢駅を経由し、翌朝に徳島、香川両県を回って終点の高知駅に着くルートで、乗り換え無しで四国に行けることが特長だった。

 運行開始当初は特別価格だったこともあり、1便当たりの平均乗客数は20人前後で推移した。通常価格となった19年11月以降は10人ほどに減り、新型コロナの影響で20年4月20日から運休している。

 西日本JRバスは4月、金沢工大-東京ディズニーランド(1日2往復)の路線を全便運休し、北陸と大阪方面を結ぶ高速バスも1日最大7往復から3往復に減便した。

 同社は四国号が採算性を確保するには1便当たり平均20人強の乗客が必要とみており、担当者は「現在の運転手数で高速バスの便数をこれ以上増やすのは難しい。四国号は運行を再開しても期待する乗客数は入らないとみている」と廃止の理由を説明した。

  ●加越能バス「東京線」撤退

 地場のバス事業者も苦境に立たされている。加越能バス(高岡市)は7月末、富山地方鉄道(富山市)と西武バス(埼玉県)の3社で共同運行してきた富山―東京の高速バス路線「東京線」から撤退した。8月1日以降は残る2社で共同運行している。

 加越能バスの担当者はテレワークの普及などで出張が減ったとし、「再開したかったが、コロナ下で減少した乗客数の戻りが遅く、運転手不足もあった」と述べた。

 富山地鉄は減便中のバス路線が複数ある一方、今夏に首都圏と立山・室堂間の直行バスを初めて運行した。担当者は「減便ばかりでは収入が増えない。何とか運転手を配置し、新路線に挑戦した」と話した。

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