タクシー女性運転手25年連続トップ 富山県12%、コロナでも比率落ちず

業務を始める準備に取り組む大鋸さん=高岡市の高岡交通

 富山県の女性タクシー運転手の比率が3月末時点で、25年連続の全国トップだったことが全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の調べで分かった。富山は12.2%で2位に大差をつけている。新型コロナウイルスの影響によるタクシー需要の減少で運転手の人数は減ったが、女性の比率は落ちなかった。女性運転手はきめ細やかな気配りが強みで高齢者からの評判も良く、人手不足が課題の業界を支えている。

 全タク連の調査によると、3月末時点で県内の運転手は855人で、このうち女性は104人だった。女性運転手の比率は12.2%で、2位の群馬8.5%、3位の岐阜8.2%に差をつけた。

 高岡交通(高岡市)では運転手82人のうち13人が女性。40~70代で10年以上勤務するベテランも多く在籍する。女性は朝から夕方までの日勤で、高齢者らの乗り降りを介助するため介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の資格を持っている人が多い。

  ●気配り、高齢者に好評

 担当者は、県内では高齢者が通院や移動でタクシーを使うことが多いと指摘し、「女性運転手には男性と違った物腰の柔らかさがある。高齢者や女性の利用者からは女性運転手の指名が多い」と話し、他県と比べて女性運転手の需要が大きいとみている。

 運転手歴24年の大鋸(おおが)芳子さん(58)は、車いすのまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーで市内を回る。夫に勧められて始めた仕事は「とても楽しい。ありがとう、また乗りたいと言われるとやりがいを感じる」と充実した勤務状況を振り返る。

 賃金体制は男女同一で、休日も取りやすく「働きやすい職場」という。一方、コロナ禍で運転手が減り、若手もなかなか定着しない。大鋸さんは「高岡に来る観光客をおもてなしするため、一緒に働いてほしい」と呼び掛けた。

 富山交通(富山市)では、タクシー運転手136人のうち女性19人が勤務。本人が希望すれば深夜勤務を担ってもらい、子育て中の場合は1日4時間の短時間勤務なども取り入れる。

 富山で女性運転手の比率が高いことについて担当者は「もともと共働きの家庭が多いからかもしれない。富山の女性は働き者で仕事にも積極的だから心強い」と期待を込めた。

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