中学生(14)が列車にはねられ死亡 調査委員会「いじめ」と認定 誹謗中傷やLINEブロック 遺族「ようやく一つの答えが」 広島

おととし、広島・呉市で当時、14歳の男子中学生が列車にはねられて死亡しました。有識者でつくる調査委員会は7日、亡くなった生徒が「いじめ」の被害にあっていたとする報告書をまとめました。

おととし1月、当時14歳で中学2年生の男子生徒がJR呉線の踏切で列車と接触して死亡しました。

家森亮 記者
「男子生徒は、この踏切で列車にはねられました。運転士はブレーキをかけましたが、間に合わなかったということです。警察は現場の状況などから、男子生徒が自分で遮断機をくぐって踏切に入ったとみています」

生徒の死亡を受け、市教育委員会と学校は校内で実施したアンケートの結果、「いじめがあったとは判断できない」と遺族に報告していました。

この報告に対して、遺族はより詳しい調査を要望。市は有識者からなる「いじめ問題等調査委員会」を立ち上げて、去年4月から遺族や学校などから聞き取りをするなど調査をしていました。

調査委員会がまとめた報告書によると、男子生徒は2020年の秋ごろから一部の生徒らとの関係が悪化。仲間外れにされたり、誹謗中傷の言葉をかけられたりしました。

また、生徒が入っていたLINEグループが消され、個人LINEがブロックされるなどしました。

関係者への取材によると、「お前は嫌われているけん、こっちに来るな」などと言われたほか、「自殺したらいいのに」という発言があったということです。

調査員会はこれらの行為について「いじめに該当する」と認定。生徒の死亡については、いじめの内容や時期などを総合的に考えると「関連性が認められる」としました。

報告書では、学校の対応について、生徒からの訴えを「軽視」したと指摘。関係生徒への聞き取りなど、「特段の対応をおこなった形跡が見当たらなかった」として問題視しました。

呉市いじめ問題等調査委員会 向笠章子 委員長
「子どもの訴えに対して軽々な扱いをしていたのではないかと読み取れます。」

調査委員会 平元陽亮 副委員長
「『君は大丈夫か』と聞かれて、『大丈夫です』って普通答えちゃうんです。そういった質問の仕方が子どもとの関係では適切なのか」

これに対して教育委員会は…

呉市教育委員会 寺本有伸 教育長
「ご遺族はもとより、呉市立学校の児童生徒・保護者、市民のみなさまに不安を感じさせたこと、お詫び申し上げます」

教育委員会は、調査委員会の報告書を受け、いじめの積極的な認知や、児童生徒の状況把握など再発防止を徹底するとしています。

調査委員会の報告書を受け、生徒の遺族は次のようにコメントしています。

「私たち家族にとって、ようやく、2年と半年もかかりましたが一つの答えが得られました。私たちの家族である子どもはこの世にいません。社会問題であるいじめ問題が今後どのように、子どもたちに教育されていくかが大事だと考えます」

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