獅子舞伝承へ映像の手引き 「百選」の氷見・小杉 8演目撮影、デジタル保存

映像の収録や秋祭りに向け、練習に汗を流す住民=氷見市小杉自治会館

 氷見市小杉自治振興会が、地区の獅子舞の映像記録を作成する。天狗や獅子頭の振り付けなどを覚えやすいよう、演目ごとに動画で撮影してデジタルアーカイブ化し、手引きとして後世に残す。地区では担い手不足で2016年を最後に演舞の中止が続いていたが、17日の秋祭りで7年ぶりに奉納演舞が復活。今後、ブランクがあったとしても復活しやすいよう伝承の手助けとする。

 小杉の獅子舞は、獅子頭の目が動くのが特徴で、県教委の「とやまの獅子舞百選」に選ばれている。

 海沿いに位置する約80世帯の小杉地区では近年、過疎化の影響で獅子舞の実施が不定期だった。住民からは「ほっておいたら獅子舞がなくなってしまう」と危惧する声があった。

 獅子舞を教えることができる世代の減少が予想されることから、市のおらっちゃ創生支援事業を活用してアーカイブ化を決めた。

 映像は30~40分を想定し、今年度中にひみ獅子舞ミュージアムにカメラマンを招いて収録する。「ヨイヤサ」「ヒトアシ」など8演目を天狗、獅子頭、足、太鼓の役ごとに複数の角度から撮影。衣装の着付けや祭りの準備のほか、祭り本番の演舞も収録する。

 獅子舞研究家の諏訪雄士さん=中能登町小竹=によると、氷見市内では昭和初期に170を超える獅子舞があったが、新型コロナ拡大前の19年には85~90地区に。昨年春からは復活し出したものの60地区程度にとどまり、さらなる減少も予想され、諏訪さんは「詳細な映像記録を持つ地区は少なく、アーカイブ化の意味は大きい」と話す。

 地区では収録と秋祭りに向け、20~50代の15人ほどが6月から練習に励む。大石泰浩会長(63)は「一度記録をきちんと残したかった。将来、もし途絶えても、また獅子を回したいと思う次世代の助けになればうれしい」と力を込めた。

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