「水のふるさと」世界に発信 白山手取川ジオ、モロッコでPR

白山手取川ジオの見どころを紹介する田村白山市長=モロッコ・マラケシュ(古府拓也撮影)

  ●田村市長「地元の悲願」ユネスコ会議開幕

 【マラケシュ=古府拓也】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパーク国際会議は7日、白山市などの世界ジオ認定地域から千人を超える関係者が出席し、モロッコのマラケシュで開幕した。田村敏和市長は会議本番に先立つ会合でスピーチし、白山手取川ジオの歴史と見どころを英語でPR。山、川、海の自然にはぐくまれた豊かな文化と暮らしが残る地域を「水のふるさと」と表現し、世界各国からの来訪を呼び掛けた。

 国際会議に先立って開かれたのは、アジアやオセアニア地域の世界ジオで構成する「アジア太平洋ネットワーク」の会合。日本や中国、ニュージーランドなど10カ国の担当者が1年間のイベントの開催状況などを報告した。

 田村市長は、5番手として演壇に上がった。用意した原稿に目を落としながら、ゆっくりと英語でスピーチ。白山手取川が世界ジオを目指してから13年の時を経て5月にユネスコの認定を受けたことを振り返り、「地元の悲願が実を結んだ」と熱弁を振るった。

  ●山田前市長のように

 さらに市長は、長く世界ジオの旗振り役を務めながらも今年3月に急逝した山田憲昭前市長に触れ、その功績を強調。「私も山田市長と同じ熱い思いを持ち、ジオをリードしていきたい」と力強い口調で語った。

 スピーチでは「日本地質学発祥の地」と呼ばれる1億3千万年前の地層「桑島化石壁」や手取峡谷の綿ケ滝、獅子吼高原などの名所が数多くあることもアピール。学術的に重要な地形や地質を備えたジオを「ふるさと教育にも生かしていく」と宣言し、出席者の拍手を浴びた。

  ●最終日に認定証

 世界ジオには現在、48カ国の195カ所が認定を受けている。国際会議は9日までで、環境保護に関する取り組みや学術、産業、教育への活用方法などについて各地の代表者が意見発表する。

 白山手取川については、世界ジオに加えて「ユネスコエコパーク」にも認定されている希少な場所であることをアピールする。閉会セレモニーで田村市長が世界ジオ認定証を受け取る。

 白山市からは田村市長のほか、池元勝市議会副議長、東大地域未来社会連携研究機構「ライン館」(白峰)の坂本貴啓特任助教らが現地入りしており、11日夜に帰国する予定。

 

白山手取川ジオの見どころを紹介する田村白山市長=モロッコ・マラケシュ(古府拓也撮影)

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