坂本龍一さん記録作品、山形でアジア初上映 来月5日、ドキュメンタリー映画祭

「Ryuichi Sakamoto|Opus」(c)2022 Kab Inc.(山形国際ドキュメンタリー映画祭提供)

 来月5日に開幕する山形国際ドキュメンタリー映画祭のオープニング作品で、3月に逝去した音楽家・坂本龍一さんの最後のソロ・コンサートを記録した映画「Ryuichi Sakamoto|Opus」が上映されることが決まり、8日、発表された。亡くなる半年前に行った演奏を収めたドキュメンタリー。イタリアで開催中のベネチア国際映画祭でプレミア上映された作品で、山形がアジアで初上映となる。

 撮影は、がん闘病中だった昨年9月に東京のNHK放送センター509スタジオで行われた。監督は息子で映画作家の空音央(そらねお)さんが務めた。坂本さんは長年愛用したグランドピアノのみを使い、「ラストエンペラー」や「戦場のメリークリスマス」のメインテーマ、最後のアルバム「12」からの楽曲など、自ら選んだ20曲を数日間に分けて演奏、収録した。

 昨年12月には演奏の一部を無観客コンサートとしてインターネット配信した。坂本さんは「ライブでコンサートをやりきる体力がない。この形式で演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」とコメントしていた。

 オープニング上映は、映画祭開幕日の5日、山形市中央公民館での開会式後に上映する。入場無料で鑑賞できる。山形での招待上映決定を受け、空監督は「尊敬する作り手たちの映画を紹介する山形国際ドキュメンタリー映画祭には、ずっと一観客として行きたいと思っていた。この作品が招待されたことをとても光栄に思う」とコメントを寄せた。

 特別招待作品として、昨年死去した巨匠ジャンリュック・ゴダール監督の「言葉の力」の上映も決まった。エドガー・アラン・ポーやジェームズ・M・ケインの小説、ボードレールの詩を引用し、1988年に製作された短編ドキュメンタリーで、山形映画祭にゆかりの深いポルトガルの巨匠ペドロ・コスタ監督の提案で実現した。

 映画祭は山形市内を会場に来月5~12日の日程で開催される。

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