鎌倉から江戸時代の大津の歴史をひもとく講演会がこのほど、大津市御陵町の市歴史博物館で開かれた。坂本城と大津廃寺跡を題材に、発掘調査に参加した職員が登壇した。市民ら約90人が集まり、身近なテーマについて学びを深めていた。
「発掘された大津の歴史」と題し、同博物館が7月22日から9月3日まで開催された展示会に関連する講座シリーズの第3回。大津市文化財保護課の西中久典さん(43)と滋賀県文化財保護協会の小林裕季さん(39)が登壇した。
西中さんは坂本城や比叡辻の遺跡について説明した。坂本城遺跡では、五輪塔空風輪の未成品が発見されたため、15世紀後半には、近辺に石工がいたとの推測を紹介した。続けて比叡辻遺跡について解説。同遺跡には15世紀後半に栄えた痕跡があり、その要因が「応仁の乱の後に京都から逃げてきた人で人口が増えたからではないか」と話した。
小林さんは大津廃寺の発掘調査結果を紹介した。江戸時代に整備された古式水道は、水道職人によって精緻な細工が施されているという。後の補修を見越して、既設管破損防止の目印をつけたり、土のうや板で管の周囲を覆い、保護するなど恒久的に使えるような工夫が凝らされている、とその特徴について話した。