「お茶の香りがする」廃棄される茶葉でつくった合成皮革のバッグや小物 抗菌作用や消臭機能も=静岡県【SDGs】

お茶を生産する過程で、どうしても出てしまうのが廃棄される茶葉です。この茶葉を有効活用できないかと考えた浜松市の企業が「地場の廃棄材を減らしたい」と再利用に挑みました。

【写真を見る】「お茶の香りがする」廃棄される茶葉でつくった合成皮革のバッグや小物 抗菌作用や消臭機能も=静岡県【SDGs】

掛川市の製茶問屋「佐々木製茶」では、およそ120haの広大な茶畑を持ち、お茶の生産から販売まで手掛けています。

<佐々木製茶 松浦英人常務取締役>
「こちらがお茶の粉砕機ですね。抹茶にする機械です」

年間3000トンものお茶を生産していますが、ある課題を抱えています。

<佐々木製茶 松浦英人常務取締役>
「我々の工場全体でも大体(年間)約40トンくらい食品の残渣であるとか、お茶として使用できない規格外のモノがやはり出ますので…」

生産過程でどうして出てしまう廃棄茶葉。廃棄するのもお金が掛かるため、その扱いに苦慮しています。

<佐々木製茶 松浦英人常務取締役>
「一部は再利用したりするものもあるが、なかなか全部使いきれないところもあるし、やはり一部はどうしても廃棄しないといけない状況になっている」

そんな中、この廃棄茶葉に目を付けた企業が浜松市にある表皮材メーカーの「共和レザー」です。主に自動車用のシート材などを手掛けていますが、培ってきた技術を活用することで廃棄茶葉を減らせるのではないかと考えました。

<共和レザーSobagni推進部 中村美由紀部長>
「こちらが私たちが開発した、お茶から出来たレザー『Chakara』になります」

廃棄予定だった茶葉が「合成皮革」に変わりました。原料にお茶を使っているということで、実際に匂いを嗅いでみると…。

<坂口将也記者>
「お茶の香りがしますね。凄く。凄く香ります」

<共和レザーSobagni推進部 中村美由紀部長>
「もしかしたらカテキンの作用があるんじゃないかと調べてみたところ、強い抗菌作用と消臭機能がついているんですよ」

共和レザーがつくる合成皮革は通常、ウレタン樹脂とポリエステルで構成されていますが、今回、開発した皮はウレタン樹脂にお茶を混ぜ込み、ポリエステルをコットン100%に変更しました。化学繊維を減らし、植物由来の成分比率をギリギリまで高めることで、より「環境にやさしい」合成皮革ができ、バッグや小物などに製品化されました。

<共和レザー 花井幹雄社長>
「当社はプラスチック製造業ですので、材料を再利用したり、天然素材を使用したり、そういうことで世の中に貢献、地域社会に貢献していくということが会社のミッションでもあるので」

<佐々木製茶 松浦英人常務取締役>
「食べられない、使えないものから、そういった新たな命に生まれ変わるというか、またそれを使っていただけるということは非常に新しくうれしい思いを感じた」

<共和レザー 花井幹雄社長>
「弊社も静岡県の会社ですので、『メイドイン静岡』というのはテーマとして、しっかり掲げてやっていきたいと思っている」

今回のお茶から出来た皮で作られた製品は、ECサイトから注文をすることが可能です。通常の合成皮革の商品よりも高価格帯になりますが、素材にこだわる30〜40代の女性中心に好評だということです。

© 静岡放送株式会社