熱中症、物価高に対応 110億8300万円追加、補正予算案を県が内示

県議会9月定例会に提案する本年度一般会計補正予算案について説明する吉村美栄子知事=県庁

 県は11日、県議会9月定例会に提出する2023年度一般会計補正予算案を県議会各会派に内示した。県内の全中学高校の体育館に可搬式冷房機器を整備する熱中症対策や物価高騰への対応を中心に110億8300万円を追加し、総額を6974億1600万円とした。吉村美栄子知事は記者会見で「危険な暑さから子どもの命と健康を守る対策と物価高騰の影響を緩和する生活者・事業者支援に重点を置いた」と語った。

 市町村立中学校や県立学校、私立学校の屋内運動施設への可搬式冷房機器の整備に3億900万円を新規計上した。

 物価高騰の影響緩和と産業発展に総額14億3千万円を組んだ。低所得者の灯油購入費助成を上乗せするほか、施設園芸の燃油価格高騰や県漁業協同組合の大型冷蔵庫・製氷工場の電気料金高騰への支援を新たに実施する。米国で県産日本酒プロモーションを、タイで本県の観光プロモーションを展開する。

 子育て関係では低出生体重児に配慮した母子健康手帳の副読本「リトルベビーハンドブック」を作成。県庁ロビーに授乳室を設ける。

 財源は地方創生臨時交付金など国庫支出金50億800万円を見込む。県債21億3300万円を発行し、22年度収支決算剰余金の一部36億1800万円などを充てる。

米国で酒、タイで観光PR費用を盛り込む

 県は本年度の一般会計補正予算案に米国での県産日本酒、タイでの観光誘客をそれぞれプロモーションする費用として、計1600万円を盛り込んだ。

 2022酒造年度全国新酒鑑評会で県産日本酒が金賞受賞数で全国1位となったことを追い風に、県は米国、中国、台湾、韓国、シンガポールへの販路拡大に力を入れる。吉村美栄子知事が11月上旬、最大の輸出先である米国のロサンゼルスを訪れ、県酒造組合とともに、現地の飲食店関係者らに県産酒をPRする。

 タイは新型コロナウイルス感染症の水際対策緩和以降、インバウンド(訪日客)の回復率が高く、仙台空港への国際定期便運航再開に向けた動きもある。県タイ友好協会(会長・寒河江浩二県経営者協会長=山形新聞会長・主筆)が11月下旬~12月上旬に予定する訪タイミッションにも合わせ、吉村知事が現地の旅行会社や航空会社へトップセールスする。

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