農業を「大変なイメージ」から「誰にでも稼ぐチャンスがあるもの」に ベンチャー企業がAIを駆使してトマト栽培

技術進歩により、その発展が目まぐるしい農業。いま、静岡県内のベンチャー企業がAIを駆使して、「稼げる農業」という在り方に挑戦しています。

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トマトをふんだんに使ったパスタに、トマトマリネのブルスケッタ。提供しているのは、静岡県袋井市にあるイタリア料理店「トラットリア・グーフォ」です。

この店で使われているトマト、その栽培方法には、「稼げる農業の在り方」がありました。

袋井市のビニールハウスでは、さきほどのレストランで提供されているトマトが栽培されています。管理しているのは、浜松市に本社を置く農業ベンチャー「Happy Quality」です。この会社は、最新のテクノロジーを活用し、安定的に農作物を生産するシステムを開発しています。「Happy Quality」の自社ブランドトマト「ハピトマ」の栽培で活用されているのが、AI制御技術を用いた自動の水やりシステムです。

<Happy Quality 古田祐樹さん>
「ここに照度や温度、湿度を計測するセンサーと植物の見た目のデータをとるカメラを併設して、それらのデータを統合してAIに処理かけて、最終的に制御盤に送って、そこからポンプに指令が出て自動で水をやるシステムになっています」

ハウスに設置されたカメラは、24時間トマトを監視。検知しているのは、葉っぱの「しおれ具合」です。高い糖度になるよう自動的に水を与える量やタイミングを調整しています。

「しおれ具合」のほかにも、気温や日射量などもセンサーで測定。これらのデータは、スマートフォンなどでチェックすることができます。

「Happy Quality」は再現性が高く、安定した生産を実現するこの栽培技術をマニュアル化。それを設備とともに農家に提供することで、従来の「大変なイメージの農業」から「誰にでも稼ぐチャンスがある農業」へとその在り方を変化させています。

提携する農家がAIを駆使して収穫したトマトは、「Happy Quality」が一般のおよそ2倍という単価で買い取り。独自の機械を使って、トマトを傷つけずにリコピンや糖度を測って仕分けし、出荷しています。

「Happy Quality」が「稼げる農業」のビジネスモデルを提案する背景には、日本の農業人口の減少があります。

<Happy Quality 宮地誠社長>
「農業の世界の意識改革をやりたいというふうに(会社を)立ち上げて、稼ぎだけじゃなく、自分時間が欲しいという(若い)子も多いですよね。そのためにいままでの農業はよくも悪くも『つきっきりで、よなべして』というイメージが強いかなと思っていますが、自分がやりたい時間にやりたいことをやるための選択肢として『農業』にする」

技術の進歩により、いま、農業がより魅力的な仕事になってきています。

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