“秋の戦い” をファームから支える 広島カープ 新井良太2軍打撃コーチ 寄り添う指導 小園・末包ら送り出す

広島カープは、シーズン終盤の激しい戦いに挑んでいます。そんなチームをファームからバックアップする 新井良太 2軍打撃コーチを取材しました。

9月8日、まだ残暑厳しい由宇練習場(山口・岩国市)。2軍打撃コーチの新井良太は、全体練習後、ファーム落ちしたばかりの 中村奨成 と話し込む姿がありました。

広島カープ 新井良太 2軍打撃コーチ
― かなり時間をかけながら中村奨成選手と?
「ファームで見ていましたし、1軍からファームに来て、(打撃)メカニックの違いについて(中村)奨成が聞いてきたので、『おれは、こう思う。お前のいいところはこうなんじゃないか』と表情を見ながら言いました。ふに落ちていました、本人も」

「一方通行にしたくない。だから相手の気持ちやタイミングを考えて」―。40歳の熱血漢は、あくまで選手に寄り添います。だからこそ、ファームで汗を流した選手たちの活躍はたまらない喜びになっているのです。

新井良太 2軍打撃コーチ
― 末包昇大 選手の活躍について
「うれしいですね。いい顔して、野球をやっているなという。毎日、親じゃないな、お兄ちゃん心で見ています」

新井コーチもパワーヒッターでした。だからこそ、伝えられるヒントもあります。力のある末包に対しては、力の抜き方をアドバイス、それが結果につながります。

新井良太 2軍打撃コーチ
「単純に腕の力を抜くっていうのもあるんですけど、顔の表情の力を抜いて打席に入ったりですとか、すると首元から力が抜けるし、おれはそういう感じでアプロートしていたよっていうふうには伝えました」

夏場の戦いを前に、2軍で力を培った 小園海斗 に対しても、そのポテンシャルを感じていました。だからこそ、シーズン終盤の活躍は独特の角度で見つめています。

新井良太 2軍打撃コーチ
― 小園海斗 選手の活躍について
「1軍に上がってくれて、すぐのホームランは素直にめちゃくちゃうれしくて、興奮しまくりました。そこからは彼は実力がありますので、凡打したときの走塁とか、エラーしたときの表情とか、そういうことの方が気になりますね。ただ、ピッチャーに声をかけにいったりとか、一生懸命走ることがずっとできているので(小園に対し)何も心配していないです」

新井貴浩 監督は、「チームは家族。1軍も2軍もない」と言い切ります。シーズン終盤、新井良太コーチはファームのグラウンドでともに戦っています。

新井良太 2軍打撃コーチ
― 兄であり、監督でありというなかなかない関係なんですけど、どんなふうに見ている?
「やっぱり、すごいなと思います。なかなかうまくいかないこいとの方が多いし、表情とかにも出ると思うんですが、一切、出ないですし。1番になって選手を守ってくれる。それが甘さでなく、優しさというのがすごく伝わるなと思います。今、ファームにいる選手が1軍に上がって、1本でも多くヒットやホームランを打てるよう全力でサポートするだけなので。そこだけ考えて、あと20試合ないですけども、まだまだチャンスはあるとお尻をたたきながらサポートしていきたいと思います」

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青山高治 キャスター
何度も表情という言葉を使われていたのが印象的で、それだけ新井コーチは選手たちの表情を見て、その内面も見て指導されているんだなと思いました。

坂上俊次 アナウンサー
コーチングでいうと、「教えようとし過ぎない。これが大事だ」と本人は話しているんです。逆に難しくて、自分のタイミングで教えるって、すぐできるじゃないですか。でも、聞かれたときに教えてあげようと思ったら、選手を見ておかないといけない。技術面の引き出しが必要。もう1つ、それを運ぶ言葉が必要ということで。木下さんはご専門だと思います。“育成” のインフルエンサー。自分が教えたいから教えればいいというものでない。

コメンテーター 木下ゆーき さん(子育てインフルエンサー)
えっ? “育成” じゃない、“子育てのインフルエンサー” です。選手を育成しているわけじゃない。でも、子育てもそうですね。確かに子どもに「失敗しているな」「違うな」と思ったときに、なんでも言うんじゃなくて、子どもから「これ、どうすれないいの?」と1回、考えさせるという段階としては似ている部分があるかもしれない。

坂上俊次 アナウンサー
新井コーチの座右の銘「走姿顕心」。走る姿に心があらわれると。凡打したときの選手の背中であってもしっかり最後まで焼き付けていただきたいと思います。

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