地域まるごとホテル化 射水・新湊 空き家解消、活性化へ構想 市民ら「拓く会」結成

イタリア発祥の観光モデル導入を検討する放生津八幡宮周辺=射水市内

  ●イタリア観光モデル導入へ

 射水市新湊地区で課題となっている空き家問題の解消と地域活性化に向け、「地域を丸ごとホテル化」する取り組みが始まった。市の政策アドバイザー石丸義男氏(61)を中心に市内の有志が「拓く会」を結成。放生津八幡宮周辺に観光ビジネスモデル「アルベルゴ・ディフーゾ(AD)」の導入を目指す。導入が実現すれば、日本海側初のAD認証地区となる見込みで、新たな観光資源としての期待も高まっている。

 「アルベルゴ・ディフーゾ」はイタリア語で分散型宿泊施設という意味。イタリアを中心に広がった考え方で、空き家などを宿泊施設や飲食店として活用し、地域が一体となって観光客らをもてなすことで、知名度向上と活性化を図る。

 考え方をモデル化した組織「アルベルゴ・ディフーゾ・インターナショナル」が、導入した地域の認証を進めており、国内では昨年12月時点で岡山県矢掛市や宮城県蔵王町など5カ所が認証地区となっている。

 石丸さんは以前から地域を盛り上げる活動に力を入れ、昨年10月に空き家を改装し、若手作家の作品展示の場を八幡宮前に設けた。

 今年2月に以前から関心のあったAD認証地の矢掛市を見学し、地域住民が一丸となって観光客をもてなす姿に感銘を受けた。新湊でも取り入れることができないかと考え、6月に「アルベルゴ・ディフーゾ新湊を拓く会」を結成した。空き家の活用や食べ物横町などの構想を盛り込んだ3カ年計画を8月にADインターナショナルに提出したところ、今月26日に同組織の会長ジャンカルロ・ダッラーラ氏が来訪し、現地視察を行うことになった。

 拓く会は、視察後、スタートアップ認証を受けることができれば、本格的に取り組みを始動する予定で、住民への説明や空き家の改修などを進めていく。石丸さんは「新湊は越中浜往来として歴史的にも貴重な場所であり、さらに盛り上げるきっかけにしていきたい」と意欲を示している。

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