多様性認め 暮らしやすい島に 五島高2年生3人 LGBTQ+題材の動画、絵本制作

手づくりの絵本を前に話し合う(左から)山本響子さん、濵口さん、山本花奈さん=五島高

 長崎県立五島高2年生3人が、探求学習の一環でLGBTQ+(性的少数者)について研究している。若い世代への啓発を目的に小中学生向けの動画や絵本を制作。市民向けセミナーで当事者から意見を聞くなどして、多様性があり魅力のある島を目指す。
 3人は山本響子さん、山本花奈さん、濵口紗矢香さん=いずれも(17)=。人口減少が進む中で、多様性を認め合い、暮らしやすい島にしようと「LGBTQ+」をテーマにした。
 性的少数者を公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」は、長崎市が2019年にスタートしており、大村市は今年10月に導入する。3人は五島市役所や高齢世代への聞き取りなどを通し、LGBTQ+について理解が進んでいない現状を知った。
 そこで、若い世代への啓発が必要と考え、教育用動画や絵本の制作を企画。動画は世代別に2本あり、小学生向けは、濵口さんが作った絵本を基に、多様な性の在り方を紹介した。中学生以上向けは性を構成する要素が性自認や身体的な性など五つあり、性別は24種類以上あると説明。「互いを尊重できる関係性と自分を大切にできる環境を築くことが必要」と強調した。
 8月には、市の委託を受けている「女性のかけこみ相談所 らしさLabo(ラボ)」が開いたセミナーに参加。相談員で、ゲイを明かしジェンダーフリーのバーを経営する佐藤康剛さんに話を聞いた。佐藤さんは「パートナーシップ制度が広まることで(LGBTQ+の)理解が進むのでは」と話した。会場からは、男女に対する思い込み(バイアス)にとらわれている社会の課題についても議論した。

パートナーシップ制度の導入などについて考えたセミナー=五島市役所

 山本花奈さんは「身近に当事者がいても普通に接することができるようになりたい」、濵口さんは「知らないうちに傷つけていないか、一人一人が問い直すきっかけになるといい」と話す。
 探求学習の成果は10月、発表予定。セミナーの意見をヒントに、LGBTQ+への理解を示すステッカーなどの制作も検討している。班長の山本響子さんは「五島で市民の理解が進み、意識を変えることができたらうれしい」としている。

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