鬼才・芳年の画業に光 県水墨美術館で15日開幕

企画展の展示作業を進める学芸員ら関係者=富山市の県水墨美術館

  ●219点、準備整う

 富山新聞創刊100年を記念した企画展「芳年(よしとし) 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」(富山県水墨美術館、富山新聞社、北國新聞社主催)は15日、富山市の同館で開幕する。「最後の浮世絵師」と呼ばれる月岡芳年の作品を年代ごとに紹介し、光を当てる。14日は展示作業が行われ、学芸員らが躍動感あふれる武者絵や美人画など219点を並べた。

 芳年は無惨(むざん)絵で知られる一方、武者絵や風俗画なども多く手掛け、人気浮世絵師となった。明治期に日本に入ってきた洋画を意識した大胆な構図や鮮やかな色彩、アクロバティックなポーズを描いた作品が現代の美術ファンを魅了している。企画展では、世界屈指の芳年コレクションを持つ西井正氣(まさき)氏の所蔵品から素描や版木、肉筆画も合わせて展示する。

  ●淡い色彩にも注目

 開幕を前に、西井正氣氏の長男で陶芸作家の西井久芳さん(43)=滋賀県甲賀市=が県水墨美術館を訪れた。芳年から名前に1文字をもらった久芳さんは幼い頃から芳年の絵に親しんできた。色鮮やかでダイナミックな構図も魅力的としながら、同展で展示される月をテーマにしたシリーズ「月百姿(つきひゃくし)」の静かで淡い色彩の作品も注目だとし「芳年のいろんな側面を知ってもらいたい」と話した。

 展示は11月19日まで。観覧料は一般900円、大学生450円。高校生以下は無料。

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