拓夢、次は日本一だ・阪神18年ぶり「セ」制覇 両親、日大山形高監督ら期待

 プロ野球阪神は14日、巨人に勝利し18年ぶりのセ・リーグ優勝を決めた。天童市出身の中野拓夢選手(27)=日大山形高出=は主力の一人として貢献。今季はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝に始まり、リーグ制覇も経験と充実のプロ3年目だ。日本一での締めくくりに向けて両親、地元ファン、恩師が喜びとさらなる期待を語り、エールを送った。

 父茂明さん(58)と母節子さん(55)は天童市内の自宅でテレビ観戦し、息子に通信アプリLINE(ライン)で祝福と今シーズンの頑張りをたたえるメッセージを送った。茂明さんは今季は緊迫した試合でも打席では冷静で、選球眼も向上したと話す。本人はWBC出場を「あれほど緊張することはもうないだろう」と振り返っていたそうで、茂明さんは「WBCの経験が成果として生きた」と成長を喜んだ。節子さんは「けがなくこれまで全128試合に出場し、優勝に貢献したことをほめてあげたい」と話した。「今季残りも今まで通りのプレーを自信を持って続けて」と願いを語った。

 社を挙げて中野選手を応援する、天童市で王将果樹園を営む「やまがたさくらんぼファーム」の矢萩美智(よしとも)社長(47)は守備での貢献をたたえた。7月の中日戦で二塁を守る中野選手と遊撃手・木浪聖也選手が流れるように併殺を奪った場面に注目。「ファンの間からは中日黄金期の荒木雅博、井端弘和両選手の『アライバコンビ』を思い出したという称賛の声が上がった」と話し、「残り15試合、リーグ最多安打とゴールデングラブ賞獲得に向けて頑張って」と期待した。

 日大山形高の荒木準也監督(51)は、教え子がこの日の最終回の守備で全てのアウトに絡んだことに「チームに欠かせない選手になった」と感慨深そう。

 中野選手は昨季後に二塁手に転向。守備範囲の広さを生かしたプレーに「安心して見ていられる。あいつはセカンドが合っている」と評価した。2番打者として要所で犠打を決めつつ、最多安打のタイトル争いを繰り広げる姿には「コンタクト能力の高さがあってこそ。守備の余裕は好調な打撃にもつながっている」とし、「3年間でコンスタントに成績を残すのは一流の証し」と活躍を喜ぶ。

 日本一への道のりは途上だ。「クライマックスシリーズと日本シリーズが残っている。まだまだ中野らしいプレーを見せてほしい」と求めた。

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