小松や加賀の旅館続々と改装 「和洋室」増、サウナ導入

新幹線開業前の改装でベッドを導入した和室=加賀市山中温泉の旅館

  ●石川全線開業まで半年

 北陸新幹線の石川県内全線開業まで、16日で半年を迎える。新たに新幹線駅が誕生する小松、加賀両市の旅館では、観光客の増加を見込み、客室や施設の改装が進む。和室にベッドを置く「和洋室」の部屋を増やして客の需要に応えたり、人気が高まっているサウナを導入したりして、「第2の開業」に備える。

 加賀市山代温泉の旅館ゆのくに天祥は11月、「白雲の館」の客室16部屋や食事処を改装する。来年には宴会場や外壁の改修も計画しており、担当者は「旅館内でも第2の開業への期待感は高まっている。おもてなしの質を高め、利用客増につなげたい」と意気込む。

 「宿泊客からは和室でくつろぎながら、布団でなく、寝起きしやすいベッドを使いたいとの要望が多い」。同市山中温泉の「かがり吉祥亭」の担当者は、2月に和室2部屋にベッドを入れた理由を、こう説明する。

 担当者は「金沢開業時も加賀温泉郷が注目を浴びた。もてなしを充実させ、リピーターが増えるよう取り組む」と話し、半年後に迫る新幹線延伸を心待ちにしている。

 小松市粟津温泉の旅館「のとや」も年度内に、4部屋にベッドの導入を予定する。桂木実社長は「布団と比べて清掃員の負担が軽減される」との利点も挙げる。部屋の内装も、加賀藩前田家の奥方御殿「成巽閣(せいそんかく)」の群青の間をイメージしたデザインなどに模様替えする計画だ。

 外壁の一部を紅殻(べんがら)色への塗り替えを予定するのは、加賀市片山津温泉の「佳水郷(かすいきょう)」。年内にも大浴場にサウナを新設する。

 日本政策投資銀行北陸支店の試算では、来年3月16日の北陸新幹線敦賀延伸に伴い、加賀温泉郷(山代、片山津、山中)と粟津、芦原温泉の年間の延べ宿泊客数が、金沢開業の2015年並みの約300万人に増える見込み。

 北陸の温泉地が再び注目を浴びることが予想される中、南加賀のある旅館経営者は「関西の奥座敷としての知名度はあるが、首都圏の人に小松、加賀に駅が新設されることをどう周知するか。開業までダメ押しのアピールが必要だ」と指摘した。

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