県内「突風」31件で全国最多 91年以降確認のダウンバーストとガストフロント 積乱雲、発生しやすさ影響

 小山市や野木町で7月、突風の一つの「ダウンバースト」が発生し多数の住宅が一部損壊するなどした被害に関連し、1991~2023年8月に本県で発生した「ダウンバースト」や「ガストフロント」は計31件に上り、全国で最多だったことが17日までに、気象庁の突風データベースのまとめで分かった。7、8月の発生が多く、専門家は本県が積乱雲の発達しやすい地域であることを要因に挙げる。

 ダウンバーストは、積乱雲から吹き下ろす強い気流が地表に衝突して起こる。ガストフロントは、積乱雲下で形成された冷たく重い空気が暖かい空気の側に流れ出すことで生じる。

 気象庁は突風データベースとして全国の事例を掲載。突風事例を確認できる1991~2023年8月のダウンバーストなどの発生事例を下野新聞社が調べた。

 本県で確認されたダウンバーストやガストフロントは31件で、全国で最多だった。2番目は群馬の25件で、茨城と北海道の17件、埼玉の15件と続き、北関東で発生が目立った。一方、青森や広島、愛媛、宮崎など9県では発生がゼロだった。

 積乱雲に伴う自然現象を研究する防衛大地球海洋学科の小林文明(こばやしふみあき)教授(61)は「太平洋側から流れ込んだ空気が内陸で温められ、北関東の山にぶつかり上昇することで積乱雲になる。積乱雲から下降流が吹きやすい地域」と説明する。

 本県の31件のうち、ダウンバーストと確定したのは18件、ガストフロントは2件。11件はどちらかが発生したものの特定はできていない。発生場所は宇都宮や小山、大田原など県内計14市町だった。小林教授は「雷が多発する栃木県は積乱雲が発達しやすい地域で、ダウンバーストも起こりやすいと思われる」とみる。

 一方、同期間の「竜巻」の発生件数は北海道が最多の52件で、沖縄51件、高知42件と続き、本県は13件。関東では千葉18件、埼玉17件、茨城12件などだった。

 9月は台風や冬の寒気が流れ込む影響で、突風が発生しやすい時期でもある。宇都宮地方気象台は「真っ黒な雲や雷の音が近づき、冷たい風が吹く場合などは激しい突風の兆候。窓や壁から離れ、頑丈な建物に避難するなどしてほしい」と注意を呼びかけている。

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