直木賞作家・澤田瞳子さんが語る「京都と小説」の深い関係 文化庁京都移転は「反対派だった」

京都と小説の関わりについて講演した澤田さん(京都市中京区・京都アスニー)

 直木賞作家の澤田瞳子さんの講演会が16日、京都市中京区の京都アスニーで開かれた。「京都と小説」と題し、創作物における京都の描かれ方の変遷を語った。

 澤田さんは京都市生まれで同志社大大学院修了。主に歴史小説を手掛け、昨年に「星落ちて、なお」で直木賞に輝いた。

 講演では、小説などにおける京都について江戸時代までは政治の中心地、観光地として登場したが、明治期~戦前は景色や風情に着目点が置かれたとし、夏目漱石や谷崎潤一郎らの作品を例示した。戦後、空襲が少なかったことから日本に残る美しいまちの象徴として描かれ、現代にはミステリーや青春小説などジャンルも広がり「時代に合わせて変化し多様になっている。他都市ではありえないこと」と強調した。

 また「文化庁の京都移転は反対派だった」と持論も披露。「京都の豊かな文化に引きずられ、他の地域がおろそかになるのではないかと危惧している。きちゃったからには仕方ないですけどね」と話し笑いを誘った。

 講演会は市生涯学習振興財団が文化庁の京都移転を記念して開いた。

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