新体操少年男子、鹿児島で全国大会 神埼清明高、感謝胸に 国スポ1年延期で出場機会失った選手救済

大会に向けて練習に励む神埼清明高のメンバー=神埼市の同校

 鹿児島県開催の特別国民体育大会「燃ゆる感動 かごしま国体」の会期前競技に合わせ、新体操少年男子の全国大会が25日に鹿児島市で開かれる。全国9ブロックと佐賀、鹿児島両県の代表の計11チームが競い、佐賀代表の神埼清明高(神埼市)は8月の全国総体準優勝の悔しさをバネに“国体”の頂点を目指す。

 男子新体操は日本発祥の種目。国体では少年男子の部が正式種目として実施されてきた。しかし、国際大会が開かれていないことなどを理由に、2008年の大分国体を最後に休止となった。大分国体は神埼清明高が優勝していた。

 同校が全国大会で実績を残すなど佐賀県は男子新体操の活動が盛んだったこともあり、県体操協会は16年から種目再開に向けて働きかけてきた。佐賀県以降に国民スポーツ大会(国スポ)が開かれる滋賀、青森、宮崎の3県にも実施の可否を確認し、佐賀を含めて開催できると判断。県体操協会の坂井欣吾理事長は「一つでも駄目だったら開催できていなかった」と振り返る。

 日本体操協会は国体での男子新体操復活を求める佐賀などからの要望を受け、18年秋ごろに日本スポーツ協会に要請。19年6月に国体実行委員会で実施の可否を諮り、佐賀国スポでの再開が決定した。その後、新型コロナウイルスの影響で国スポの先延ばしとともに再開が1年ずれ込んだ。

 新体操は成年の部がなく、国スポの1年延期によって活躍が期待された年代の選手は演技の機会を失った。山口祥義知事からヒアリングを受けた坂井理事長は「出場できない選手を救いたい」と伝えたという。佐賀県や鹿児島県などが協力し「全国ブロック代表新体操男子団体選手権大会」の開催にこぎ着け、坂井理事長は「夢舞台を整えてもらえた」と感謝する。

 競技の復活は「男子新体操界にとってプラスになる」と神埼清明高の中山智浩監督はうなずく。6人で実施する春の全国選抜や夏の全国総体と違い、同大会は5人での演技になるため、構成などを修正して臨む。

 同校の選手たちは春は制したが、夏は準優勝に終わり、目標の高校3冠はかなわなかった。大会は団体戦のみ。主将としてけん引してきた3年の浅田匠(たくみ)さんは「個人でも戦いたかったけど、国スポの代わりに開いてもらえる」と感謝の気持ちを胸に刻む。全国総体の悔しさをぶつける絶好の機会に「井原高(岡山)に勝たないといけない。『佐賀県』の看板を背負って戦う」と闘志を燃やす。

 大会は25日午後1時から、鹿児島市の西原商会アリーナで開かれる。(小部亮介)

入念に演技を確認する神埼清明高のメンバー=神埼市の同校
大会に向けて練習に励む神埼清明高のメンバー=神埼市の同校

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