時空超えたタイムカプセル 国宝の五重塔にある仏像内部に「紙」 制作経緯など判明へ 広島

広島・福山市にある国宝・明王院 五重塔の本尊となっている仏像の中に “紙” が詰まっていることがわかりました。仏像の制作にかかわる記述があるのではないかと関係者は期待しています。

RCC福山放送局 内田博文 記者
「国宝・明王院五重塔です。この塔の中に安置されていた仏像を修理に出した際、中から紙が見つかったということです」

五重塔の本尊で県の重要文化財に指定されている「木造弥勒菩薩坐像(もくぞうみろくぼさつざぞう)」です。五重塔が建てられたおよそ670年前の南北朝時代に制作されたと考えられていますが、作った仏師などは不明です。

膠(にかわ)で止めていた仏像の腕が外れたり、色彩に剥落(はくらく)が見られたりしたことから、7月から福山市内の工房に修理に出されています。

修理の過程で仏像が身につけていた冠や耳飾りなどを外したところ、後頭部に木材同士をつなげ合わせた跡が見つかりました。はがすと、中に折りたたまれた紙が入っていました。

仏像の中に紙があることは以前から知られていましたが、文字か図形のような墨書きがあることがわかったのは初めてです。

福山市内にある同じ時代の仏像から出てきた納入品には、経典や制作の経緯が記された記録が見つかっているということです。

修理を補助している福山市によりますと、今後の紙の取り扱いについては、彫刻の専門家などの意見を踏まえ検討するとしています。

明王院 片山悦子 事務長
「時空を超えて、タイムカプセルだと思っています。この発見が時代を変えていくかもしれないと思っております」

福山市 文化振興課 榊拓敏 次長
「造像されたときの経過、誰が作ったか、どういう仏師が作ったか、いつごろ作ったか、どういう仏として作られたか、そういったものが納入品の中にわずかでも判明できるヒントが含まれていれば」

仏像の修理は来年3月末までには終わり、来年秋に公開されるということです。

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