教員の問題行為を資料化し共有、定年まで引き継ぎ わいせつ事件受け福井県教育委員会が方針

 福井県議会は9月19日、総務教育、産業の両常任委員会を開いた。坂井市の小学校内で女子児童にわいせつな行為をしたとして同校教諭が逮捕、起訴された事件を踏まえ県教育委員会は、県内の公立小中学校と県立学校の教員を対象に、児童生徒への不適切な指導や教員間の問題行為の履歴を記載した新たな資料を作成する方針を示した。

 県教育委員会によると、教員の勤務歴などが書かれた既存の「人事記録カード」は賞罰欄に懲戒処分だけを記載しており、処分に至らなかった不適切指導や問題行為は、事案に応じて異動時などに口頭で引き継がれるだけだった。今回の事件では、教諭が以前勤務していた福井市内の小学校でもわいせつ被害の訴えがあったものの、異動時に引き継がれず、坂井市教委や学校側は把握していなかった。

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 新たに作成する資料は、懲戒処分に至らない訓告や厳重注意などのほか、不適切指導や問題行為として被害者側から訴えがあった場合や学校側が調査した場合も記載する。当事者の教員には通知しない。異動時に県教委、市町教委、校長間でのみ共有し、その後に問題行為などがなくても、定年まで引き継ぐという。

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 豊北欽一県教育長は総務教育常任委で今回の方針について、「児童生徒を守り育てる立場にある教職員の適切な人事配置を行うため、市町教育長会議で議論を重ねた結果」と述べた。

 逮捕、起訴された教諭は公判で起訴内容を否認し、無罪を主張している。

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