【大井川鉄道】復旧へ…10月再開区間で試運転 台風で被災から1年 “撮影スポット” として人気の区間が再開へ(静岡県)

大井川鉄道は、10月1日に運転を再開する家山から川根温泉笹間渡の区間で、普通電車の試運転を行いました。被災から1年がたちましたが、“自力”での全線復旧は難しい状況だということです。

9月21日、大井川鉄道が行った普通電車の試運転。家山から川根温泉笹間渡までの2駅の区間が、10月1日に運転を再開するのを前に、約3キロのコースを1往復しました。

(運転士)

「1年ぶりなので、この感じが戻ってきてうれしい」

大井川鉄道は、2022年9月に発生した台風15号の影響で、沿線で大規模な土砂崩れなどが発生し、一時全ての区間で運休するなど甚大な被害を受けました。その後、復旧作業を経て2022年10月に井川線の運転を再開。

その2か月後には、大井川本線の金谷-家山間で運転を再開しましたが、残る家山-千頭間は運休が続いていました。そして、自社で復旧費用をねん出し、10月1日に、家山から川根温泉笹間渡までの2駅の区間で運転再開にこぎつけました。

新たに再開する区間は、SLの絶好の撮影スポットとして観光客や鉄道ファンに人気の「大井川第一橋梁」を渡る区間。1年ぶりに鳴り響く電車の警笛を聞き、沿線の宿泊施設からも喜びの声が…

(大井川鉄道 川根温泉ホテル 小玉 絵吏子さん)

「(大井川鉄道の列車は)当館としてもセールスポイントの一つ、(運休を)知らずにお越しいただいた方もいて、残念な気持ちにさせてしまうことも多かった」「従業員みんなとても楽しみにしています」

家山-川根温泉笹間渡間の運転再開により、残る運休区間は、大井川本線の川根温泉笹間渡-千頭間の8駅・約20キロ。しかし、現在も手つかずの被災場所が、約20か所、復旧費用は19億円に上り、自社での“自力復旧”は難しい状況だといいます。

(大井川鉄道 山本 豊福さん)

「2.9キロの区間、無事試運転が終えられてよかった、自分たちでは(全線)復旧の費用がまかなえない、家山から川根温泉笹間渡までは、なんとか自社で費用をまかなうことができた、とりあえずここまで、千頭まで半分までやってくることができた、一つの節目だと思う」

大井川鉄道は、残る運休区間の復旧に向けて県などに支援を求めていますが、全線復旧の見通しはたっていません。

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