地域おこし協力隊からお好み焼き店オーナーに 玖珠町の金子さん、事業を引き継ぎ【大分県】

「地域に愛されるお好み焼き店を目指す」と意気込む金子雅一さん(左)と紀子さん夫婦=玖珠町

 【玖珠】玖珠町の地域おこし協力隊として8月まで3年間活動した金子雅一さん(43)が、長年愛されてきた町内森のお好み焼き店「いたる屋」の経営を引き継いだ。直前に亡くなった前オーナーの思いも胸に、「地域がつながるきっかけとなるようなアットホームな店を目指したい」と張り切っている。

 千葉県松戸市出身。都内の移住フェアで「とても感じが良かった」と玖珠に興味を持ち、協力隊に応募した。

 2020年9月に着任し、森自治会館を拠点に活動。水を入れた鉢に花を浮かべる「花手水(はなちょうず)」などアイデアあふれる取り組みを実践してきた。

 昨秋、活動を通して親交ができた同店オーナーの松木輝彰さんから事業承継の打診を受けた。「病気で続けられないと聞いた。飲食業に興味があり、決心した」と金子さん。今年1月から店を手伝い、ノウハウを学んだ。オタフクソース(広島市)の起業研修にも参加して腕を磨いた。

 店を継ぐ直前の8月初旬、闘病していた松木さんが70歳で亡くなった。「もっとたくさんのことを教えてもらいたかった。最後まで地区のことを考えていた人。屋号やレシピはもちろん思いも引き継いでいく」と誓った。

 協力隊の退任式は店舗であった。宿利政和町長が記念品を贈呈。金子さんが作った広島風お好み焼きと玖珠産ネギをふんだんに使ったネギ焼きを味わい、「素材の一つ一つがおいしく、バランスも良い。すぐにファンが増える」と太鼓判を押した。

 妻紀子さん(42)と一緒に新たな道に踏み出す金子さんは「心から気に入り、いろいろな人に支えられた玖珠への恩返し。居酒屋メニューも少しずつ増やしていきたい」と話している。

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