「遺骨は故郷に帰すべき」琉球遺骨訴訟で大阪高裁判決、人類学会を異例の批判 原告控訴は棄却

大阪高裁

 京都大に対し、沖縄県の墓地から研究目的で持ち去られた遺骨の返還を子孫や沖縄県出身者ら4人が求めた琉球遺骨返還訴訟控訴審で、大阪高裁は9月22日、請求を退けた一審京都地裁判決(2022年4月)を支持し、原告側の控訴を棄却した。高裁は判決の付言で、遺骨を保管し研究したいと要望する日本人類学会を批判した。高裁が学会を批判するのは異例。

 大島眞一裁判長は、判決の付言で「遺骨は、単なるモノではない。遺骨はふるさとで静かに眠る権利があると信じる。持ち出された先住民の遺骨は、ふるさとに帰すべきである。日本人類学会から提出された『将来にわたり保存継承され研究に供されるべき』との要望書面に重きを置くことはできない」と述べた。その上で、京大と祖先の百按司(むむじゃな)墓に安置したいと願う原告、沖縄県教委、今帰仁村教育委員会らで話し合い、解決の道を探るよう求めた。

 京大は、昭和初期に当時京都帝国大医学部の金関丈夫助教授が約80体、三宅宗悦講師が約70体の琉球遺骨を沖縄本島の「百按司墓」や瀬長島の墓地から持ち帰り、現在その一部26体を保管している。また京都帝大が収集した遺骨の一部は金関助教授の転任で台北帝国大医学部(現・台湾大)に保管されてきたが、2019年に遺骨33柱が台湾大から沖縄県教育委員会に返還された。百按司墓を村指定文化財とする今帰仁村は、京大に遺骨返還を要請している。

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