富山新聞創刊100年を記念する企画展「ドナルド・キーン―世界から見た日本文学展」(高志の国文学館、富山新聞社主催)は24日、富山市の同館で開幕した。翻訳や執筆活動を通じて日本文学の魅力を世界に広めたキーン氏(米国出身、1922~2019年)の人生をたどりながら功績や素顔を紹介し、日本文化を見つめ直す。
開会式が行われ、女優で館長の室井滋さん(富山県出身)が「企画展によって、県民の皆さんが日本の魅力を再認識するきっかけとなればうれしい」とあいさつした。キーン氏の養子でドナルド・キーン記念財団の代表理事を務めるキーン誠己(せいき)さんもあいさつした。ドナルド・キーン・センター柏崎の吉田康館長(ブルボン社長)も出席した。
キーン氏は1922年、ニューヨーク生まれで、戦前、『源氏物語』に魅了され、日本文学研究を志した。戦後は足繁く日本に通い、文学史や日記文学を研究。構想から半世紀をかけた『日本文学の歴史』など、多くの著書を執筆した。谷崎潤一郎や川端康成、三島由紀夫、司馬遼太郎らと交友を重ねた。東日本大震災後、日本に帰化し、2019年に96歳で死去した。
企画展では、直筆原稿や手紙、写真、著作など約244点を並べる。高岡市出身の画家・古川通泰氏が手掛け、キーン氏お気に入りだった油彩画などゆかりの品々も展示される。
展示は11月27日まで。観覧料は一般500円、大学生250円、高校生以下は無料。