受け入れ先も困った「これからという時に出鼻くじかれた」静岡~上海線 3年7か月ぶりに再開も… “原発処理水”が影響?中国人観光客のツアーバスキャンセル相次ぐ

新型コロナウイルスの影響で運休していた静岡空港の上海線が3年7か月ぶりに再開しました。乗客や関係者からは喜びの声が挙がる一方で、原発処理水の排出に対する中国からの反発は、静岡県内にもすでに影響を与えています。

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静岡空港(静岡県牧之原市)では9月24日、上海便の到着を前に記念式典が開かれ、周辺市・町のトップや空港関係者などがくす玉を割るなどして、再開を祝いました。今回再開された上海便は、金曜日と日曜日の週2便、運航されます。

<富士山静岡空港 西村等社長>
「まずは週2便だが再開したことに感謝しているし、増便に向けて取り組みたい」

24日午後2時過ぎ、2020年2月以来、3年7か月ぶりに静岡に降り立った上海便。放水のアーチで歓迎されました。

<中国からの旅行客>
「(静岡に来るのは)7年ぶりということでうれしく思ってやってきました。夢のつり橋に行こうかなと思っている」
「樱桃小丸子」
Q.ちびまる子ちゃん!?
「やあやあ」
「伊豆半島に行きます。ゆっくり温泉を楽しみたい」

再開第1便で静岡に降り立った乗客は69人。中国から訪れたのは個人客で、今回は団体客の姿はありませんでした。

中国からの団体客をめぐっては8月10日、中国政府が日本への渡航を解禁。しかし、団体観光ビザの発行に一定の時間が必要なことや移動手段の回復が道半ばであることなどから、静岡県内の関係者は本格的な来日は10月から11月にかけて増えるとみていました。

こうした中、ある問題が回復ムードに水を差しています。

<玉露の里 山本剛生店長>
「こちらがお茶の淹れ方の説明をしているもの。お茶を買っていく客が多いので淹れ方を多言語で表記している」

静岡県藤枝市岡部町の「玉露の里」。高級な日本茶「玉露」が茶室で楽しめることなどが外国人観光客の支持を得て、人気のスポットです。特に中国人に人気で、コロナ禍前は団体客の約7割が中国からのツアーでした。

中国の建国記念日である10月1日の「国慶節」に伴う大型連休は例年、かき入れ時でしたが…、10月末までに13台施設を訪れる予定だったツアーバスは、10台がキャンセルされたということです。

<玉露の里 山本剛生店長>
「おそらくですけれども、処理水の影響が1番大きいのではないかと思っている」

明確なキャンセルの理由こそ示されなかったということですが、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の排出に対する反発が少なからず影響しているのではないかといいます。

<玉露の里 山本剛生店長>
「せっかくコロナが明けて、これからという時に出鼻をくじかれた感じ。(処理水が原因だと)店レベルでの対処は難しい」

インバウンド需要の要として期待がかかる中国人観光客の回復。処理水放出の問題が長期化すれば回復のペースが鈍ることが懸念されます。

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