親父のパトロール隊が復活! 「もっと大人が注意を」 青少年の非行防止に声かけ 佐世保

女子学生に声をかける草場さん(中央)らメンバー=佐世保市内

 青少年の非行防止などを目的に佐世保市内を巡回する団体「復活!オイ・コラ!親父(おやじ)のパトロール隊」がコロナ禍の休止を経て今春から本格的に活動を再開した。団体を設立したのは約10年前。交流サイト(SNS)の普及など青少年を取り巻く環境も様変わりする中、どのように活動しているのか。ある日のパトロールに同行した。
 9月初旬の夜。隊長の草場知博さん(75)らメンバー数人は、市内の二つの商業施設やその周辺を順番に訪れた。商業施設で草場さんは最初、児童らしき女の子にこう問いかけた。「お母さんと一緒ね?」。女の子が首を縦に振ると、安心したのかメンバーはその場を後にした。
 少年補導委員や保護司などを務めてきた草場さんは「管轄地域の垣根を越えて活動したい」と団体を設立。元教員など現在は10人がメンバーに名を連ね、不定期で活動している。
 その後も児童生徒らを見つけると次々に声をかけていく。「学生?社会人?」「どこの学校?お~○○か。補導されたら先生が泣くぞ」「勉強中か。けれどあんま遅うならんごとね」。声かけには雑談やユーモアが大事らしい。団体名の「コラ!」との文言から想像していた様子とはまるで違った。草場さんに理由を聞くと「(口調が優しかったのは)単に『不良』がいなかったからだよ」と冗談ぽく振り返る。ただ時代の変化もあってか、メンバーからは注意する際の配慮も感じられた。
 しかし、突然知らない人から話しかけられて戸惑わないのだろうか-。ある女性2人組に記者が尋ねると笑顔でこう返ってきた。「怖くないです。実は以前も声をかけられたので」。パトロール中のメンバーを見て「あ~地域の人やろ」とうなずき合う学生もいた。
 誰もがスマホを触る光景は当たり前になった。「昔は今以上に外でたむろしている学生が多かった」と草場さん。SNSをきっかけに少年少女が巻き込まれる事件も起きている。少子化や学校再編。今後も人間関係が変わっていく可能性はある。ただ草場さんの思いは揺らいでいない。「今はもう『オイ、コラ』と言える人が少ない。もっと大人が注意する時代に戻さないと」

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