長崎クレーン学校 5トン以上の実技教習は県内唯一 地元企業の人材確保に貢献

クレーン・デリックについて説明する山口校長=長崎市、長崎クレーン学校

 産業用や建設業用の車両の運転士を育成する長崎クレーン学校(長崎市)が昨年以降、大型施設の建設現場などで使う「移動式クレーン」と、工場内で大型資材をつり上げる「クレーン・デリック(クレーン限定)」の実技教習を順次開始した。こうした荷重5トン以上のクレーンの実技教習は、それまで県外でしか受講できなかった。地元企業の人材確保に貢献している。
 同校は、自動車学校の運営会社あたご(同市)が2007年、同市星取1丁目の本社近くに開設。当初はフォークリフト技能講習のみを実施していた。17年に現校名に改称し、小型移動式クレーンや高所作業車など技能講習4科目を追加した。5トン未満であれば運転免許を必要としない。
 だが、5トン以上の免許取得を目指す人は、福岡や広島などでの実技教習に出向く必要があった。地元の造船・建設業者からは「従業員を県外に行かせるには時間も費用もかかる。長崎でも受けられるようにしてほしい」との要望が寄せられていた。
 法令上、実技教習の講師の条件は「クレーン運転士の免許を持ち、8年以上の運転業務に従事した」などハードルが高かったが、同社は製造業の退職者らに声をかけて3人を確保。昨年5月に移動式クレーン、今年5月には九州で3校目となるクレーン・デリックの実技教習を科目として採り入れた。
 新たな2科目は、県内の造船関連会社など製造業の従業員らが受講し、今年8月末現在で39人が修了した。同校の山口忠德校長兼実施管理者は「今後もさまざまな声に応え、産業現場や建設現場の雇用拡大や仕事の幅を広げることにつながれば」と未来を見据えた。
 受講料はクレーン・デリックが4日間(計9時間)14万2500円。移動式クレーンが同12万7100円。修了後、福岡県久留米市の九州安全衛生技術センターで学科試験に合格すれば免許取得となる。

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