処理水、岩手県内に冷静さと緊張と 2回目の海洋放出スタート

活ホタテを販売する産直とれたろう。漁業関係者は処理水放出の影響を引き続き注視する=宮古市田老

 東京電力が5日、2回目となる福島第1原発処理水の海洋放出を始め、岩手県の関係者は緊張感を持って状況を注視している。水産物への風評被害が懸念されたが、初回の放出以降、価格への目立った影響はなく、消費者の反応も落ち着いている。一方、中国の日本産水産物の禁輸は打開が見通せない状況。大口の出荷先を失った水産加工業者は、新たな販路を検討するなど対応を迫られている。

 地元の海産物を取り扱う宮古市田老の産直とれたろう。売り場のいけすでは、買い物客が市内産ホタテをじっくり品定めしていた。

 処理水放出後もホタテの値段は大きく変わらないといい、たろう産直組合の畠山正彦事務長(45)は「今まで通り、ここで取れた海産物を買ってもらえるとうれしい」と願う。

 国内市場の見方は冷静だ。岩手県沿岸部で水揚げされた水産物の価格に大きな動きはみられない。県漁連によると、ホタテガイの8月の共販実績は10キロ当たり5136円(前年同期同8201円)。昨年は数量が少なかったため高価だったが、今季は不自然な変動はなく、現時点の影響は軽微とみている。

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