ドイツ人親子獅子舞デビュー 金沢・神谷内のバイヤーさん 棒振り役で演舞

親子で獅子舞の棒振りに参加したバイヤーさん(左)とリヒャード君=金沢市神谷内町

  ●「町のみんなと一緒が楽しい」 

 金沢市神谷内町で8日、3年に一度の獅子舞の巡行が行われ、町内に住むドイツ人親子2人が棒振り役として「デビュー」した。金沢の祭りに関心を持って参加を決めたという2人は、神社境内や自宅近くなどで勇ましい演舞を披露。少子高齢化などで地域の伝統を受け継ぐのが難しくなる中、地元住民は「国を問わず、仲間になってくれてうれしい」と歓迎し、大きな拍手を送った。

 棒振りに挑戦したのは、7年前から神谷内町に住んでいるバイヤー・アヒムさん(53)と長男のリヒャード君(11)。金沢星稜大教授のバイヤーさんが、別地域の獅子舞を見て興味を引かれ、地元の獅子舞に参加を申し出た。

 8日の巡行には子ども28人、大人約70人が加わり、午前8時ごろに野蛟神社を出発して町内を練り歩いた。「ミスしないように頑張る」と意気込んで臨んだリヒャード君は、躍動感ある動きと威勢の良い掛け声で盛り上げ、父と一緒に地域の伝統芸能を楽しんだ。

 神谷内町の獅子舞は住民の安全や豊作を祈るものとして伝わり、初代の獅子頭は1834(天保5)年に作られたとされる。戦後にいったん途絶えたものの、1991(平成3)年に有志が復活させ、現在は20~70代の約30人が保存会として継承に取り組む。

 神谷内本町会長を務める辻義之さん(68)は「出身がどこであっても、祭りに来てくれるのは地元として大事なこと」と話し、バイヤーさんは「棒振りは難しいし、体力的にもきついけれど、町のみんなと一緒にやるのが楽しい。3年後の次回もぜひ参加したい」と笑顔で話した。

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