<山とともに>これからの地域交流 多様化反映、新たな刺激を

愉快だった10年前の村民運動会

 夏の作業着で朝の養鶏場に行くと、くしゃみ連発で、温度計は10度。そんな中でも、どこからか風に乗ってくるキンモクセイの香りにうっとりしながら、足元に咲いたヤクシソウに声をかけた。

 さまざまな理由で数年開催されなかった村民運動会が今月予定されていたが、雨天中止となった。意見はいろいろあるだろうが、形や内容を変えてでも残ってほしい。個人的には生徒数が減少する小中学校の運動会に合流して、参加希望制でもいいと思う。

 さて、地域行事の目的である地域住民の交流、交わりとは何だろうか。人口が減り、高齢化していく中での交流の意味と効用は何だろうか。山間部の農家は今や兼業がほとんどで、農業に携わっていない人も少なくない。かつてと異なり、同じ住民であっても、仕事や生い立ち、趣味や交友などのコミュニティーが多様化している。しかし地域の考え方やありようはかつてのままであることが多い。

 多様化しているのに、閉鎖して固まってしまいがちな地域に風を通し、新しい刺激や成熟のきっかけを得るために、他との交流が生きてくる。皆が前向きに参加する交流とは何だろうか。秋の夜長に思うのも楽しい。(養鶏農家・カフェ店主 小野寺睦)

© 株式会社佐賀新聞社