豪、先住民巡る改憲は否決 国民投票、分断と強い反発

14日、憲法改正の是非を問う国民投票の結果について話すオーストラリアのアルバニージー首相=キャンベラ(ロイター=共同)

 【シドニー共同】オーストラリアで14日、先住民の意見を議会に反映しやすくする憲法改正の是非を問う国民投票が即日開票され、否決が確実となった。公共放送ABCなど複数の地元メディアが報じた。アルバニージー首相は記者会見し「望んだ結果ではなかった」と認め「新たな道を模索しなければならない」と述べた。

 非先住民との格差解消に向けた政権の目玉政策だったが「国民を分断する」といった反発が強かった。労働党政権にとって痛手。

 可決には全集計の過半数に加え、6州のうち4州以上の過半数が必要だが、ABCなどによると全ての州で反対となる見通し。国民投票は共和制移行が否決された1999年11月の投票以来、約24年ぶり。

 投票では、アボリジニとも呼ばれた「アボリジナル・ピープルズ」などの先住民を「最初のオーストラリア人」と明記し、先住民の代表でつくる諮問機関「声」を設置することへの賛否を問うた。

 オーストラリアでは「白人社会への同化」を目的に、先住民の子どもが親元から白人家庭や施設に隔離された。

オーストラリア南部アデレードで、国民投票への賛成を呼びかけるアルバニージー首相=8月(共同)
14日、オーストラリア・シドニーの投票所前で、改憲への賛成を促す人たち(左の2人)(共同)

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