県写真展、女性初の無鑑査入り 寒河江の芳賀さん、独学で作品にすごみ

県写真展で女性初の無鑑査に認定された芳賀和代さん。中央左は53回展で県知事賞に輝いた「天空の共演」=寒河江市

 山形市の山形美術館で14日に開かれた県写真展運営委員会で、寒河江市本楯1丁目、会社役員芳賀和代さん(70)=県写真連盟会員=が無鑑査に認定された。1967(昭和42)年に始まり60年近い歴史がある県内最大の公募写真展で、女性の無鑑査入りは初。芳賀さんは「夢のまた夢であった無鑑査になれたのは家族や仲間のおかげであり神様が導いてくれた。これまで通り、楽しみながら自分の写真を追求し、人生を豊かにしたい」とほほ笑む。

 2013年の第47回展から応募し57回展までに最高位の県知事賞1回、入賞3回、準入賞2回。53回展の県知事賞「天空の共演」は赤川花火大会(鶴岡市)の会場で花火と星の光跡を重ねた幻想的な作品で、発想と技術を審査員が絶賛した。毎回すごみのある力作を出し続け、10年で一気に頂へ登り詰めた。

 写真歴12年。始まりは大病を患い湯治場に通っていたころ、夫の長悦さん(70)が気晴らしにとカメラを勧めたこと。沈みがちな気持ちは外へと向いて、心に光が差し世界への視野が広がった。本紙「カメラ360度」に何度も自作が掲載され、周囲の反響を励みにますますのめり込んだ。

 誰にも師事せず独学で腕を磨いた。仕事以外は夫妻でひたすら写真に没頭。その姿はまさに二人三脚。撮影後は必ずプリントして見返し反省と研究を重ねた。国内最大規模の第56回富士フイルムフォトコンテストでは「谷地どんがまつり」(河北町)の作品で応募3万6千点の頂点「フジコン大賞」に選ばれた。

 人物や風景、スナップなどテーマは幅広い。「カエルの芳賀さん」と言われるほど小さな生物も大好きだ。「感動したもの、共感したものにとことん向き合い、目と目が合うような決定的瞬間を大切にしてきた。後進の目標になれるよう頑張る」と意気込む。

◇県写真展の無鑑査制度 1976(昭和51)年の第10回展終了時に無鑑査制度を導入。審査なしで自作1点を出展できる。入賞12点のうち最高位の県知事賞を2点、他の11賞を1点とし、5点以上取得すると無鑑査の資格者となり、県写真展運営委員会での審議を経て正式に認定される。同委員会は主催する県写真連盟、山形新聞、山形美術館と無鑑査認定者の各代表で構成する。これまで認定された総数は芳賀和代さんを含め27人、このうち10人は故人。

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