〈いしかわ百万石文化祭2023〉両陛下迎え開会式 「新たな文化創造を期待」

いしかわ百万石文化祭の開会式で観覧者らに手を振られる天皇、皇后両陛下=金沢市のいしかわ総合スポーツセンター

 天皇、皇后両陛下は15日、即位後初めて石川県を訪問し、金沢市のいしかわ総合スポーツセンターで行われたいしかわ百万石文化祭2023(第38回国民文化祭および第23回全国障害者芸術・文化祭)の開会式に出席された。天皇陛下はお言葉で「地域の伝統や文化の良さを再認識する機会となり、新たな文化の創造につながることを期待する」と述べた。オープニングステージでは、多様で個性豊かな石川の文化や歴史が歌と踊りで表現され、44日間にわたる文化の祭典の幕開けを告げた。

  ●即位後初来県

 両陛下は15日午前に羽田空港を出発、同午後に小松空港に到着した。日航の特別機のトラブルで予定より約1時間半遅れた。両陛下そろっての県入りは1998年8月の「第10回全国農業青年交換大会」以来25年ぶりとなる。

 開会式は約1500人が観覧した。県内での国民文化祭開催は92年10月以来2度目で、天皇陛下はお言葉で皇太子時代に前回開会式に出席したことを振り返り「県内各地のさまざまな催しを見たことを懐かしく思い出す」と述べた。その上で「国内外の文化芸術のさらなる発展に寄与することを願う」と話した。

 冒頭、メゾソプラノ歌手の鳥木弥生さん(七尾市出身)が国歌を独唱した。主催者である盛山正仁文部科学相、武見敬三厚生労働相に続き、県実行委員会長の馳浩知事が「本大会の意義や成果を未来へとしっかり継承し、文化のさらなる発展と地域の活性化につなげる」とあいさつした。焼田宏明県議会議長が歓迎の辞を述べた。

 能楽師の渡邊茂人さん(金沢市)、バイオリニストの竹田樹莉果さん(小松市)、県聴覚障害者協会の福村俊彦さん(金沢市)が開会宣言した。

 オープニングステージでは、開閉会式総合ディレクターを務める狂言師野村萬斎さんや県内の文化、障害者団体の関係者らが全6章にわたって石川の文化にまつわる時代絵巻を物語仕立てで表現し、両陛下が拍手を送った。

 同スポーツセンターで両陛下は、盛山文科相、武見厚労相、一般財団法人県芸術文化協会会長の飛田秀一県実行委員会文化芸術顧問(北國新聞社会長)、村山卓金沢市長、高誠市議会議長の出迎えを受けた。

 開会式後は宿泊先となる金沢市のANAクラウンプラザホテル金沢で馳知事から県勢概要を聴取した。

 16日は午前に同市の県立音楽堂で開かれる「きらめく個性! 全国障害者作品展」を視察する。午後は同市の県立図書館で「石川ゆかりの文学朗読劇」に出演する県内高校生の稽古を見学後、小松空港から特別機で帰京する。

 国民文化祭は、国民体育大会、全国植樹祭、全国豊かな海づくり大会と合わせて「四大行幸啓(ぎょうこうけい)」と呼ばれる。

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